Interview

20,000,000 fragments 後篇

何でもやっていい場所なんです。実験の場であり、遊び場であり、表現の場であり・・・。

-テーマを先に決めて洋服作りを始めるのですか

テーマを決めるのは半ばくらいです。一番最初の作業としては自分が気になっているものをとりあえず全て収集するところから始まります。そういったものが集 まってきてそのシーズン自分がやりたいことがこれなんじゃないのかなという方向性の確認が出来るんですね。その確認が出来てこんなようなことがしたいって 思った事をたくさん書き出してみて、その書き出した中からテーマを搾り出す感じですね。だからテーマはわりと後付ですね。テーマを決めてからは終盤そこ (テーマ)にめがけてまとめていくという作業をします。

-通年(S/S, A/W)でテーマを設定するのはなぜですか

春夏秋冬とあるなかでテーマを立てたときに半シーズンでそのテーマを変えるということは、たとえば秋冬であれば秋冬のテーマの顔しか分からないですよね。 今回このテーマだったら「春夏であればこういう表現が出来ます」という一年間を通してのテーマの表現をしたかったというのが理由です。一年間やることで今 シーズン掘り下げ切れなかったところまで次シーズンで掘り下げることが出来ると思うんですね。だから春夏秋冬を同じテーマで表現するということが重要とい う考えです。

-普段どういったところから物作りのインスピレーションを受けるのですか

自分の生活全部ですね。どことかいうのはなくて。ただ確実に思うのは人から影響を受けている部分が大きいと思います。ふとバスに乗ったときに向かいに立っ ているおばあちゃんの「洋服のレースが綺麗だな」とか。全然違うところではライブに行った時に「照明の色が凄く綺麗だな」とか。それが自分では組み合わせ たことのない色の表現をしていて凄く影響され、その時には色をたくさん使ったりもしました。様々な事から影響を凄く受けやすいのだと思います。

-20,000,000 fragmentsの描く顧客像について教えてください

デザインをするときに年齢的にはそんなに若い方はイメージしてなくて、自分と同じくらいの30代の女性をイメージしています。意外と簡単に見えて簡単には着れなかったりするところがある洋服ですので洋服を知ってる人、知り尽くしている人に巡り合って欲しいと思っています。


-(20,000,000 fragmentsを)始めて約3年経ちましたが最初の頃と比べて何か変わった点などありますか

最初は一方的に自分の作りたい物を作っていましたが、時間が経つにつれてもう少し分かりやすい表現をするもの、これを着る為に必要なもの、そういった幅広いところまで一つの展示会で表現出来れば良いなという考えを持つようになりました。

-自身が着たい物というのがデザインの前提にあるのでしょうか

ありますね。「全然私は似合わないけどこういう子が来たら可愛いよね」って作っているものもありますけど、そうは言いながらも必ず自分で袖を通してチェックして修正するので自ずと自分が似合うようにはしていってるんだと思います。

-ランウェイをやりたいという思いはありますか

ランウェイをやりたいという特別な思いはありませんが展示会だけでは全体像が伝わりにくいのかなとも思っています。ただそれが必ずしもランウェイとは思っ ていないので展示会の時にビデオを流すとか写真でコーディネートを見せたりであるとか、色々な方法があると思うのでそういう中から提案したいという思いは あります。

-今後20,000,000 fragmentsでやりたいことはありますか

今シーズンMartino Gamperの作品集「A 100 Chairs in 100 Days」(1日1脚の椅子を作り100日で100脚の椅子を作るというもの)をイメージビジュアルに持ってきたんですが、彼は既に完成された椅子を再構 築することでまたモダンなものに作り変えている作業をしているんです。この椅子を作るテクニックというのが普段自分が洋服を作るときの作り方に似ていると いうことで凄く興味を持ちました。表現は違うけれども同じ考え方で物をつくっている人という意味で凄く共感を得ることが出来たので彼の作品をイメージビ ジュアルに持ってきたんです。長いスパンで考えて彼と一緒に何か出来るのかなと思っているんですがそれが今後やりたいことですね。例えばこのブランドの為 に彼が洋服を着せるトルソーを作るであるとか、洋服を見せるためのラックを作るであるとかということも含めて色々話が盛り上がっていますね。

-秋山さんにとって20,000,000 fragmentsとはなんですか

何でもやっていい場所なんです。実験の場であり、遊び場であり、表現の場であり・・・。このブランドとしての見え方というものを考えつつ作り上げてきて最近やっと骨組みが出来て来たのかなという感じはありますが、これからも模索してもっと良い見え方というものを考えなくてはいけないと思っています。その中 で本当に自分が作りたい素材を作らせて貰ったり、パターンを追求させてもらったり、そういう意味では自己投影の場なのかもしれないです。

HP – www.20mf.com/

Interview, Text/Masaki Takida, Photography/Takahito Sasaki

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