Interview

Narrenschiff


「阿呆船」(Das Narrenschiff)は、ドイツの詩人セバスチャン・ブラント(1471-1528)の手による風刺物語。偏執狂、愚者、白痴、うすのろ、道化といったあらゆる種類の阿呆が船に乗って愚鈍国ナラゴニアへ向かうという話。(Narrenschiff Blogより)。今回はNarrenschiffという名前を冠した静岡にあるセレクトショップのインタビュー。

—お店の名前の由来について教えてください

Michel Foucaultの狂気の歴史という本から取ったんですけど。十代の頃にまだ引き篭もりという言葉がない時だったんですけど、20代前半くらいまでがちな引き篭もりだったのが4年くらいありましてその時に読んで、いつか店出す時はこの名前にって。

—今メンズとレディースの割合ってどのくらいですか

店頭は半々くらいですけど実際のお客様は7:3で女性ですね。

—バイイングコンセプトを教えてください

自分のスタイルであるということだけですね。気に入るものはここにあるもの以外でも多いんですけど、別にアメカジが嫌いなわけでもないですしタンクトップが嫌いなわけでもないですし。ついさっき髪の毛切ってるときにそこの美容院でDogtownというスケーターのビデオを流していてそこで出てきた人がスタイルのことをブルースに例えていてブルースのコードは3つだと。でも演奏する人によって違う曲になると。それがスタイルってものだといってたんですけど自分のショップにあるものは黒いジャケットとよれたTシャツと艶っぽいスラックス。メンズだろうがレディースだろうが基本的にはこの3つだと思っていて。勿論ワンピースがないわけではないですしスカートがないわけでもないんですけどあくまで曲のアレンジ部分に過ぎなくて基本はこうだっていわれたらさっき言った3つで。ハッピーなスタイルじゃないので悲しみであったり、憂鬱であったりっていうのが自分の興味なのでその範囲内でバイイングするというのがコンセプトですね。

—お店の内装とかコンセプトとかもそういう感じですか

そうですね。出来る範囲で。雑居ビルにこだわったわけでもないですし2階にこだわったわけでもないですし儲けたいというのはあるけど自分はその才能もないし。自分が用意できる資金から考えたらここしかなくて有名な内装に頼むお金が無かったから自分でやっただけで。

—静岡に出したのもそういう理由ですか

そうですね。別に表参道に出したくないわけではないですし。ただもし金が捨てるほどあって表参道にでかいビルで出せるならじゃーそれはハッピーな店になるかっていうとまた違うと思うんですよね。やっぱり暗い店になってしまうかもしれないし今からもう一件やるのであればアンダーグラウンドなショップが必要になってくるかもしれないですね。このスタイルのショップは売れようが売れまいが最低限必要な空間だとは思っています。

—このお店が出来てどのくらいですか

まだ1年経ってないくらいです

—どういったお客さんが多いですか

お洒落かどうかはわからないですけど、勿論お洒落なショップは色々あると思うんですけど実際自分もお洒落じゃないですし、ただここのお店を通じて「自分を探してみたいのに100点がつかない自分がどこから来てどこ行くのかわからない、その手がかりをつかみたい」っていう人が、例えば統合失調症の人が箱庭遊びをして癒されていくように、お店のアイテムや空間を使って少しずつ癒されながら自分を探していくそういう人が多いですね。そういう人は付いてくれて帰ってくれる、必要としてくれる。ただお洒落の為にお洒落なアイテムを探しているっていう人は間違って一回買ってくれてもそれっきりという人が多いですね。ヴィンテージTシャツやAlexander Wangなどのある程度名前のあるものなどにはそういうお客様が一切いないというわけではないですけども、そういう人は通ってくれないので自分がお店を続ける上で最初に思い描いたお客様とは違いますね。それよりもお洒落じゃなくても良いからこの店を必要としてくれる選んでくれた人たちのほうが嬉しいですね。
実際にお客様にいったことなんですけど「足の形が綺麗に見えるパンツが欲しい」といわれたので「無い」って言ったんですよ。「心の形が見えるパンツならある」って答えて、そういうバイイングをしてるし。何が裏で何が表なのかはよく分からないですけど。

Narrenschiff
住所静岡市葵区紺屋町5-7田中ビル2F 電話054(251)2007
取り扱いブランド
SISE, CONNECTERS, FUGAHUM, GALAABEND, ROBES & CONFECTIONS, YEAH RIGHT!!, ALEXANDER WANG…..
Blog – http://narrenschiff.eshizuoka.jp/

Interview, Photography/Takahito Sasaki, Text/Masaki Takida

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