今シーズン、鳥の羽根から始まったという色の探求は、水面に降り立ち、羽ばたき去っていく、鮮やかな羽根を持つ鳥たちのイメージのコレクションへと昇華した。
テーマは“Flapping Colors -羽ばたく色-”
それは色彩のマジック。
色鮮やかなコレクションはブラック×ホワイトのストライプ柄と千鳥格子柄、そしてISSEY MIYAKEが得意とするプリーツで視覚のトリックを生み出し、より華やかで幻想的な世界へといざなう。

豊かな色彩がグラフィカルに表現されたファーストパートのドレスは、6色のみで多彩に色を広げる。これらは軽くしなやかな極薄生地の両面に転写プリントが施され、色が重なり合った部分は加色し、また違った色を作り出す。
プリーツ加工では、新しい手法が加えられたボックスプリーツ、グリッドプリーツがこれまでにない視覚効果を魅せる。斜めに走るボックスプリーツがレジメンタルストライプを作り出し、浮き出る斜線が動く度に微動しさざ波の様な面持ちに。縦と横を走るグリッドプリーツが施された服は、そのまま着用すると身体の肩や胸などの突出部では広がり、鎖骨や腰などの窪み、平らな部分ではなだらかに沿う。また、生地を広げたり縮めたりする事で好みのシェイプとデザインへも変貌させる事ができる、圧巻のプリーツテクニック。
緩やかに身体を包むボーターのニットは実は四角い布から作られており、服の四隅を引ぱりスチームをかけることで流線的なフォルムへと変化。
他にも、服の袖を折りたたんだ状態で転写プリントする事で、折り畳んだ袖部分は色が複雑に移染し、混ざり合い、新たな色がプラスされたトップや、ストライプとカラーの二枚の薄い生地をボンディングし、表地と裏地の柄と色が重なり合い生み出されるリバーシブル仕立てのコートやジャケットなど。

進化されたプリーツ加工、色、柄、折り、型がさまざまに掛け合い布の上で踊り歌い、幻想的でアブストラクトなコレクションが並んだ。

Text:Kumiko Kobayashi