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TAKUYA KIKUTA

菊田琢也 / TAKUYA KIKUTA

1979年山形生まれ。縫製業を営む両親のもと、布に囲まれた環境のなかで育つ。2003年筑波大学卒。在学時にファッション研究を志す。その後、文化女子大学大学院博士後期課程を修了(被服環境学博士)。現在、文化学園大学非常勤講師、女子美術大学ライティング・アドバイザー。近著に「アンダーカバーとノイズの美学」(西谷真理子編『ファッションは語りはじめた』フィルムアート社2011)、「やくしまるえつこの輪郭 素描される少女像」(青土社『ユリイカ』第43巻第13号2011)など。

E-mail: tak.kikutaあっとgmail.com

A Scene In Between

80年代英国のインディ・ギター・シーンにフォーカスした写真集『A Scene In Between: Tripping Through the Fashions of UK Indie Music 1980-1988』が先月出版されました。

タイトルにある「間」とは、ニュー・ウェーブとグランジという2つのシーンの間のことで、つまりは歴史においてきちんと言語化されないまま残されてきた「隙間」のことです。
従って、この本に収録された写真からは、様式化されることのない雑多なスタイルの数々をまじまじと体感することができます。それは、30年経った現在においてもとても新鮮な輝きを放っており、何と言うか、ワクワクしました。

著者のSam Knee氏は、80年代終わりに一時期、The Mistreatersというガレージバンドのメンバーだった人物。
レコードや古着の収集という趣味が高じて始めた「Leaders of Man」というブログで、60年代ガレージから80年代インディ・シーンを中心とする膨大な史料(写真や切り抜きなど)をこつこつと公開してきたもの(これがとにかくレアなものばかりで凄い!)が、今回こうして一冊の書籍にまとめられたわけです。

さらに、その熱意はこれだけにとどまることなく、「A Scene In Between」というブログを新たに開設し、世界中の人たちが持っている史料を集める呼びかけをしています。歴史家の鑑のような方ですね。

こうした歴史の隙間を埋めていく作業というのは、とても重要なことだなと改めて考えさせられた次第です。
僕もがんばろう。

『A Scene In Between: Tripping Through the Fashions of UK Indie Music 1980-1988』

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