スタイリッシュstylishという英単語があります。日本語に訳そうとしてもこれというものがありませんが(「おしゃれ」という今はあまり使わないことばがぴったりかもしれません)、この単語は普通、見た目の良さを褒めるときの言葉として使われます。
最近のブランドやショップのルックブックとかカタログを見ていると、スタイリッシュと形容したくなるものが少なからずありますよね。顔立ちの整った外国人モデルを使ったきれいな写真が使われ、レイアウトも洗練されていて、といった感じのものが。
しかしながら、stylishという言葉はもともとstyle(様式)という言葉から派生しています。そう考えると、stylishというのは「様式的」と考えられるのではないでしょうか。事実、スタイリッシュという印象を受けるイメージは、すでに一定の評価が得られ、それを「おしゃれ」だとみなす価値観が人口に膾炙し、広く共有されたものと言えます。
スタイリッシュなイメージは、いまここにおいてはポジティブな印象を生み出すことは間違いないでしょう。ですが、様式化されているということは硬直しているということと同義でもあります。悪い言い方をすれば、作り手の独自の意図や挑戦が感じられない、保守的なものでしかありません。すでにある「様式」に則っているだけなのですから。
ここで言いたいのは保守的な表現やものづくりが悪いというわけではまったくありません。そういったものも重要ですし、また需要もありますので。が、もし何か新しいことをやりたいと思っているデザイナーがいるのであれば、安直にスタイリッシュなイメージをつくるよりも、アンスタイリッシュな──英語で”unstylish”というのは「ださい」という意味になってしまうのですが、非様式化ととらえてください──イメージをつくることに挑戦してもらいたいな、と思う今日この頃です。