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AKIRA NAKA

AKIRA NAKA

アメリカ在住時にテイラーに出会いデザインを始める。アントワープ王立芸術学院在学中にイェール国際モードフェスティバルに参加。その後アントワープにおいてニットデザイナーに師事。21_21DESIGN SIGHT, ROCKET GALLERY等でプレゼンテーションを行う。08年JFWにおいてコレクションを行う。
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決定ルールを越えて


今期について少し。

今期のコレクションテーマはOVERDRIVE/オーバードライブ。
何かを越えて行く、越えた位置で答えを出すという事。

今まで自分のレーベルでは常にコンセプトベースに発展させるという
プロセスを取って来ました。女性像を決めて、そこへ働きかけ近づいて行くという
作業でした。しかし、最近自分が感じている事は洋服にもっと自由が必要に
なって来たという点でした。

コンセプトワークによって製作される洋服はおのずとそのゴールに向けて進むので
イメージが限定されてしまう。女性像も同じ様に限定してすすめるのでおのずと
一点へ向かう事になる。
そうする事で、洋服に創り手側の意思や意図が残り過ぎると言う点に違和感のような
ものを感じていました。

現在を生きる女性は服とその背景を纏う事は少なくなったと思います。それよりも
どのように自分がその服を楽しむかが気持ちの中心になってきている気がしています。
そのモノがもつ色をいかに反映させるかではなく、そのもの自体にどのような色づけを
するか?という視点。

デザイナーが前に出過ぎない、色々な答えを導きだせる洋服。色々なシーンに合わせて
自由に着こなせるもの。ここが美しいではなく、何気なく美しいというイメージ。

そのような思いに浸っていた時に思い出したのが、建築家青木淳さんが提案した
決定ルールのオーバードライブという理論でした。
ナカミ(構造)かカタチ(表現)かというベクトルを超越した位置での思考で
答えを導き出すもの。とても抽象的ですが、作品を見ると納得させられるものばかり
でした。一件理論が存在していないようなイメージで無秩序にも感じられる方法ですが
ルールという線上では決して導けない答えが新鮮で新しい秩序を生んでいる様にも
感じれるものでした。

それを自分がファッションというフィールドで表現できるとは考えていませんが、
その通常のプロセスをある意味無視した無秩序(というかルールから離れたもの)
から生まれ出るもの、もしくは無秩序でしか生まれ得ないものがあるのでは
という気持ちで今期のデザインに入りました。
一見無責任な創作に感じますが、感覚に頼る方がある意味純粋な自分を引き出せるという
気持ちもありました。

自分はデザイナーなのでクライアンツに自分のエゴを押し付ける事はしたくない。
でもやはり女性自身が固定された意思を持ち続ける存在でない限り、時代と共に
クリエーションの方法論も自由であって良いと思うのです。

One Response to “決定ルールを越えて”

  1. Kotona Yamashita より:

    初めまして。
    「ここが美しいではなく、何気なく美しいというイメージ」
    大変共感する一言でした。
    決定ルールのオーバードライブも勉強になりました。
    創り手としていい刺激が頂きました。
    ブログ楽しみにしてます。