ちょっと遅れましたが、サッカーロンドン五輪の関塚ジャパンのレポです。
モロッコ戦でも勝利を上げ、遂に決勝トーナメント進出(ベスト8)を決定しました。
おめでとうございます!
この試合、当ブログが予想した通り、快速フォワードの永井選手が得点を決め、日本が勝利を決めました。
これは、別に当ブログが予言者であるとか預言者であるとかではなく、この試合の設定を冷静に分析していたためです。
事前の予想では、この組の強さは、明確にスペイン、モロッコ、ホンジュラスの順と考えられていました。
なので、1位スペインを別格にして、モロッコと日本が2位通過を争うと専門家には予想されていました。
ところが、蓋を開けてみると、日本が優勝候補スペインに勝ち、格下と思われていたホンジュラスにモロッコが引き分け。
スペインとの最終戦を残すモロッコは、この試合、なんとしても勝たなくてはならない状況に追い込まれました。
一方、モロッコは、スペインと日本の試合で、永井選手の脅威は充分に感じていたはずです。
なので、この前線からのプレスを交わすために、ある程度引いて数的優位を作ってボールを回し、永井選手に無駄な走りをさせて、スピードを殺そうとする戦略をたててくるだろうことは予測の範囲内でした。
以下は、アジア大会でタイ代表のブライアンロブソン監督が行った戦術です。
以下引用
この試合、日本のストロングポイントである、FW永井のスピード、山口のパス、そして、高い位置からのボール奪取が、ほぼ完璧に封じられた。
それはタイが、日本の良さを消すために徹底した戦術を採用していたからである。
なんで、タイがこんなに出来るんだ??
と疑問に思っていたら、なんとタイ代表の監督は、あのマンUやイングランド代表のキャプテン、ブライアン・ロブソンであるらしい。
そんなところに居たのか!ブライアン・ロブソン!!
というわけで、タイ代表は、完璧に統率されたモダンサッカーであった。
タイが日本対策として行ったのは、ディフェンスラインを深めに設定し、数的優位を作りながら、バックパスを多用してパスを回し、前からのプレスをかいくぐる戦術であった。
その上で、ディフェンスラインにフィード力の高い選手を配置し、ウイングにスピードと突破力のある選手を起用し、深い位置から一気に前線のサイドを突破する。
この攻撃に何度か日本はピンチを招いた。
日本はタイのフィードをケアするためにFW永井が勢力的にチェイスするが、タイは数的優位を作ってボールを下げることで、このプレスを無効にした。
これを繰り返しているうちに、永井のストロングポイントであるスピードが落ちてきたわけだ。
以上引用終わり
課題は戦術理解と経験か?関塚ジャパン アジア大会・タイ戦
以上のような戦術をしてくることが予想されました。
しかし、勝たなくてはならない以上、同点か日本がリードしている状況なら、後半のある時間帯からは、これらの戦術が不可能になり、バックラインを上げて攻撃せざるを得なくなる。
なので、永井選手を途中出場させれば、必ず点が取れるはず。
こう考えたわけです。
なので、当ブログの推奨先発メンバーは
大津
宇佐美 東 清武
山口 扇原
徳永 吉田 鈴木 酒井高
権田
こうしたわけです。
これは、体力のある大津がロングボールの出所を封じる意図、それから宇佐美のボールキープ力を活かすためのメンバーです。
それで、勝っているか同点の状況で、後半の勝負所でスピードのある永井を入れ、点を入れなくてはならないために前がかりになり、背後のスペースが空いた状態のモロッコから永井が得点を取るというのが、当ブログの意図でした。
しかし、関塚監督は、怪我の酒井宏を酒井高に変えた以外は、スペイン戦と同じメンバーで組んできました。
おそらく、まず守備のことを考えてのメンバーだったと思います。
ただ、この試合、かなり苦戦しました。
その理由について分析をしていきたいと思います。
まず、当ブログは、このモロッコ戦、かなり苦戦するだろうと事前から予想していました。
それは、同タイプのエジプトとトゥーロン国際大会で闘った試合から導き出した予想でした。
関塚ジャパン、U23トゥーロン国際大会第3戦エジプト戦を見てのメンバーは?も参考に
エジプト戦では、1対1のディフェンスの局面で多く負けていました。
今回も1対1のディフェンスで、かなりやられた部分があったと思います。
特に前半は、モロッコがいつ点を取ってもおかしくない展開でした。
そして、アジア大会のタイ代表と同じ戦術を、モロッコが行ってきました。
さらに当然のことながら、モロッコは、タイ代表よりももっと戦力が高かったわけです。
一方、スペイン戦で全力を出し切った日本代表のメンバーは、余力の無い状況でした。
動きがにぶく、100%とは言い難い状況です。
このため、前線からのプレスは効かず、相手フォワードのスピードを警戒するために、ディフェンスも下がり目となり、コンパクトさが保てない状況になりました。
そんな中で、個人技で突破され、決定的な場面を何度も作られました。
これには、メンバーの配置の問題もあったと思います。
日本の先発は
永井
大津 東 清武
扇原 山口
徳永 吉田 鈴木 酒井高
権田
これ良く見てもらうと分るのですが、
右サイドのディフェンス
山口173cm、酒井高176cm、鈴木180cm
左サイドのディフェンス
扇原184cm、徳永180cm、吉田187cm
と、右サイドのディフェンスはスピードとカバーリングに特化し
左サイドは高さに特化していることが分ります。
このディフェンスの並びは、相手フォワードにとっては非常にやりやすい状況を産み出します。
高さにはスピードを、スピードには高さをぶつければ良いわけですから。
なので、モロッコは、徳永を攻略しました、徳永が突破されると、高さのある吉田か扇原がカバーに行かなくてはなりません。
そうすると、必然的に中央の高さが無くなってしまいます。
酒井宏が右サイドバックだった時は、たとえそうなっても、酒井が中央に絞り、センターバックとしての役割を充分果たしてくれましたが、酒井宏の怪我で、それが出来なくなったのです。
当ブログは、それを見越して
大津
宇佐美 東 清武
山口 扇原
徳永 吉田 鈴木 酒井高
権田
山口と扇原の位置を入れ替えています。
徳永が突破された時は山口がカバーに入る
右サイドは、扇原が高さに対応し、酒井高と鈴木がカバーするという考えです。
この対応策をせずに、単純に酒井宏と酒井高を入れ替えてしまったために起きた、守備バランスの崩れが原因であったと当ブログは思います。
そして、攻撃においても、当ブログが指摘したような戦術をモロッコがしてきたために、永井のワントップが生きなかったわけです。
なので、途中から大津のワントップの機会が多くなりました。
こうなると、守備に追われた永井選手のスピードが後半落ちることが懸念されましたが、無駄なハイプレスを放棄した分、永井選手は、先発で出場しながらも、後半のスピードをそれほど落とすことがなく、結果的にゴールを決めることが出来たのだと思っています。
あのパスは、清武選手のクリエイティブな側面が出た素晴らしいパスだったと思います。
あの場面は、あれしかなかったでしょう。
本当に素晴らしかったです。
この試合、関塚監督の設定ミスを、選手達が試合の中で取り戻すことが出来たことが、この結果をもたらしたものではないかと思っています。
それが、経験と戦術理解なのです。
欧州の指導者の多くは、「日本の長所はスピードで、足りないのは戦術理解」と言いました。
関塚ジャパンの選手達は、アジア大会やワールドカップ予選、そして親善試合を通じて、多くの経験を手に入れ、状況判断能力、戦術理解能力が格段に上がってきたと思います。
この試合、スペイン戦で全力を出し切ったため、選手達は意図的に前半は省エネサッカーで乗り切り、後半勝負をしました。
これは、カミカゼ特攻隊のようなハイプレスを繰り返し、後半失速した昔の岡田ジャパンから比べると隔世の感があります。
そして、U17ワールドカップでは、身長も守備もあと5センチ足りないと言いましたが、その5センチが足りたこと。
ちょっと引用します
勝敗を分けたのは、本当に5センチの差の部分。
シュートに対して本気でブロックに行ってるのか?いないのか?というディテールの部分が差になった。
メキシコのディフェンスは、それほど激しかったし、メキシコのあと5センチのがんばりで、3点や4点は確実に防いでいた。
一方、日本の失点は、ボールに対処しているけれども、人に対して、シュートコースに対して、きっちり寄せきれてないから失点してます。
これ、明らかに守備が甘いのです。
以上引用
あと5センチ!!サッカーU17ワールドカップ ナイジェリア大会 日本対メキシコ
以前、岡田監督がよく言っていた、いざと言う時に徹底的に身体を張る、寄せを速くする、ブロックをする。
それが出来ないと世界では闘えないということ。
そのあと5センチ寄せるといったことが、このチームには浸透してきたと思います。
それが無かったとしたら、2、3点入れられてもおかしくなかった試合でした。
それを入れられなかったのは、それが出来ていたからです。
さて、日本は決勝トーナメント進出を決めましたが、日本の目標は決勝トーナメント進出ではありません。
メダルを取り、優勝することです。
そのためには、決勝トーナメントで3回勝たなくてはなりません。
そのために必要なのは、現在の主力選手だけではなく、控えメンバーの強さが大変重要になってくると思います。
この年代の選手達は、ちょっとしたことで圧倒的に良くなります。
現在の主力は、試合を経て大幅に伸びしろがあったという風に思います。
ですから、控えの選手達にもその機会が必要なのではないかと思います。
杉本、宇佐美、斎藤、山村、村松、そして出れるかは分らないですが、GKの安藤といった選手の頑張りですね。
この人達の活躍が大変重要になってくる。
彼らの力無くしては、金メダルは無いわけです。
なので、次のホンジュラス戦は、是非彼ら現在の控えメンバーの力を使って勝って欲しいと思います。
そうすれば、優勝が見えてくる。
そのように当ブログは考えています。
谷間の世代の2軍といわれた関塚ジャパン
彼らは下馬評を吹き飛ばし、アジア大会でも優勝しました。
彼らは今、ロンドンの地で輝いています。
そして、その谷間の世代の2軍といわれた関塚ジャパンの控えメンバーの人達も、その力を見せてほしいと思っています。
その実力を証明してほしいと思っています。
ホンジュラス戦、当ブログの推奨スタメン
杉本
斎藤 宇佐美 大津
村松 山村
徳永 吉田 鈴木 酒井高
権田
バックラインはそのままに、ボランチから上を全て入れ替えた布陣です。
2戦とも途中交代だった大津はスタメンにしてあります。
スピードのある村松は左にしてあります。
おそらく、これで機能すると思います。
応援しております。
text by
contemporary creation+
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