Interview

MicroWorks 1/5


プロダクトを中心にSalt&Pepperやマグネット、ブックカバーなど日常に溢れる身近な道具がユーモア溢れるデザインに。一昨年発表された iidaの充電器『midori』が様々な方面から注目を集めたMicroWorks代表海山俊亮氏に話を聞いた

‐プロフィールを教えてください

小学校はいたって普通の学校だったんですけど裸足、裸を推進している学校だったんです。健康を目的として女の子も。小5から女の子は上着を着用してOKっ ていう。川崎の学校なんですけど。それでテレビに紹介されたりしていて。強制ではないんですけど運動会とかはみんな裸でしたね。体育は自由で。裸足は当た り前なんですよ。廊下とかは当たり前にみんな裸足で。

‐上靴とかは無いんですか

無いですね。だから靴下とかも全然履いていなくて。

‐学校に行くときもそのスタイルですか

それはないですね。靴に素足だったのかなー。覚えていないんですけど学校では常に素足でしたね。靴下というものに縁が無くて。小5とかくらいにませてくる と靴下履き始めるんですよ。「裸足ダセー」ってなって。

‐雨の日も裸ですか

学校の中では裸ではないですけど体育など場合によっては裸ですね。でも授業中もたまに裸の時もあった気がします。裸足は基本推進でスポーツ測定が毎年ある んですけど足の裏の診断があって魚拓的なものを取るんですけど裸足だからなのか土踏まずがどんどん無くなるんですよ。凄い人は上と下の島がわかれるってい う。何が良いのかはよくわからないですけど。先生もみんな裸足だったと思うんですよね。

‐なぜそれが良いのかよくわからないですね

でもそれが当たり前だったと思っていたんですよね。

‐でも5年生からはちゃんと靴下を履くようになったんですよね

いや僕はちょっと遅かったんですよ。だから6年生からですね。6年生の時に「裸足ダセー」みたいになって。服は割と着ていたんですけど。小6くらいになる と基本強制の時以外は裸になる時はないですね。運動場は細かい砂利で痛いところは痛いんですよ。で凄く校庭が広かったので近くの不良が夜に集まったりし て、だからガラスとかも落ちているんですよ。それで怪我したりというのも普通にありましたね。

‐中学校は普通だったんですか

小学校も別におかしくはなかったんですけどね。中学校はそういう意味では普通の学校で普通の生徒だったんです。靴下履いていましたし普通でしたね。

‐その頃はプロダクトは作ってなかったんですか

何も作って無かったし特にその時はまだ、特に興味は無かったですね。普通に日々の生活を送っていたという感じで。無邪気にサッカーやってました。

‐裸足でですか

小学生の時は裸足でやっていたと思います。突き指した記憶があるので。(裸足だと)蹴り方が遠慮がちになるんですよね。作ったりする授業は昔からあるじゃ ないですか。それは好きだったんですけど。ちょっとそれっぽいこというと電子工作みたいなのが通信教育であったんですよね。そういうので動くおもちゃみた いのを友達がやっていたんですよ。で「僕もやりたい」と言って注文してキットが届いたんですよね。で、出来あがってまた注文するという感じなんですけど数 個くらいで飽きちゃって。でもそういう物作りは漠然と好きではあったんです。別に将来どうこうというのではなくて。

‐高校の時はどうですか

高校は都内の私立に行っていたんですけど僕の人生の中でも薄っぺらい3年間でしたね。あんまり行ってなかったんですよね。偏差値的には可もなく不可もなく という学校で。仲の良い人はいたんですけどそれ以外の大多数は変な人ばかりで気が合わなかったんですよね。だから地元の友達とかと遊んでいて麻雀ばかり やっていました。麻雀のプロになろうかなと思うくらいで。友達の中には(プロ麻雀士の)試験を受けた人もいたんですけど僕はそこまでは興味なかったので。

‐高校卒業後専門学校に行ったんですけどなぜそこでプロダクトをやりたいと思ったんですか

高校の時になんとなくグラフィックや2Dのデザイン、インテリアのデザインなどに興味を持ち始めてたんですよね。で、専門に入ったんですけど、その時は物 というよりは空間とか家具に興味がありました。それで、1年生の時にドローグ&ダッチデザインの展示会が東京であって友達に誘われて見に行ったん ですよ。それでそこから物にシフトしていったという感じですね。

‐ドローグデザインの展示では具体的にどのように衝撃を受けられたんですか

今まで自分が触れてきたものって「この形が凄く綺麗」とかそういうものが良くも悪くもデザインだと思っていたんです。その展示会では多くの面白い作品が展 示されていました。例えばJurgen Beyというオランダ人の作品で、丸太にアンティーク調の椅子の背もたれがささっていてそれでベンチというのがあったんです。普通はどちらかといえば人間 の感情に凄い近い部分があって、リアルな表現というか、そこから人間に合わせるという作業をするじゃないですか、形を整えるという。そうではなくて剥き出 しの感じというか。でもそこから、捉える人によって色々感じられることがあるし使う人にとっても色々な使いかたが出来るんだなって思ったんですよね。今ま で考えていたデザインという考えがあまりにも表面的過ぎたなって思ったんですよ。「使いづらくてもいいじゃん」っていうことは無いんですけど表現として美 しくやるっていう以外にも人の心をとらえる展示の仕方ってあるんだなって思ったんですよね。その頃は少しアートっぽいかなって思ったんですけど考えれば考 えるほど考え方がデザイン的というか。結果最終的には使うというところまで落とし込んでいるのでそういう意味で「こういうことやったら楽しそうだな」って 単純に思ったんですよね。

‐元々アート寄りのことをしたいって思っていたのですか

それはないですね。どちらかというと形ですね。でもまだ学校に入って間もなかったので「こういう風にやっていこう」とかはなかったですね。でもその展示を見た時に、学校うんぬんじゃなくて自発的に作ってみようと思ったんですよね。その時にアイデアが出てきたかどうかは覚えてないんですけど「何か作りた い」って思ったんです。学校で与えられる課題に対しての答えをそういうようなやり方をしてもなかなか理解されずらい部分が多かったのでそれとは別で自分で 「プライベートワーク的な感じでやろう」と思ったんですよね。

‐専門学校時代に作った作品で商品化された作品はありますか

専門学校時代に学校の課題以外で作ったのは1個しかなくて1年生の時にその展示を見た時から少し経ってアイデアが出てきたんです。でもプロダクトって1個 試作品作るのに結構お金がかかるんですよ。やっぱりポンポン何個も作れないというのもあって時間をかけて作りましたね。色々検証したりして「これ、こうし た方がいい」とか。そういう風にやっていたら、学校の個々の課題もあったので出来あがった物は一個しかなくて、それが「Jump Out Mirror」でした。でもあれも卒業した時にはまだ完成はしていませんでした。そして卒業した年の秋にデザインイベントに出したんですが、その時にとあ るお店のバイヤーさんに来てもらったんですよね。そこのお店はアパレルのお店だったんですけど、当時僕が好きだったプロダクトのレーベルや海外デザイナー の商品を沢山扱っていたんです。アートピースに近いものもあるし、ドローグの商品もありました。僕のはアイテムが鏡だったので、ただインテリアショップだ けじゃなくてもう少しアパレルにも絡められるんじゃないかなというのがなんとなくあったんですよね。で、お店に行ったら価格帯も比較的高めでした。僕のや つを販売することになったら割とお高めになってしまうと思っていたので、その点でも丁度良いかなと思ったんです。その時にそこのバイヤーさんにいきなり話 しかけました。「今度イベントに出すんでよかったら来てください」って。そうしたら展示を見に来てくれて、作品を気に入ってくれたんですよね。「じゃー一 緒に進めましょう」って。そこからまたブラッシュアップして翌年に商品化してそこで売り出したんですよね。そこで結構売れてくれたことで自信になりました ね。単純に作ったものが売れたので次「別の物作ってみようかな」という気にもなるし。それが一応学生の時に作ったもので販売したものです。

今も売っているんですけどPaper Packという書類のファイルも元々はそちらのお店のオリジナルという形で商品開発をしたものなんですよ。僕、新しい物作る時って「これ作ろう」ってあま り考えないんですよ。普段生活していてポッと浮かぶ時があるんですよね。「これこうなっていたらいいのに」とか。「何かわからないけどこの形凄く面白い」 とか。「ちょっと違う考え方したら面白いんじゃないか」とか色んな要素を控えておくんですよ。テキストでもいいし、スケッチでもいいし、その場で携帯のメ モ機能に入れるでもいいし。その場でとりあえず覚えられるような状態にしておく。それを後で見直すとほとんどその時だけ盛り上がっているようなものが多く て「なんだこれ」みたいなものばかりなんですけどその中で「これは面白い」と思うものもあるんですよね。その中でストックしていって作りやすそうなのどれ だろうって。

‐その中でも商品化していないものってたくさんあるんですか

ありますよ。まだ作っていないってだけなんですけど。今はクライアントさんから依頼があった時にその中のストックから「これとこれを合わせたら面白いん じゃないか」とかそういう感じで進めることもあります。勿論その中に無い時は新たに考えますが。

そういう意味ではPaper Packは珍しく、感覚ではなく机に向かってガッツリ考えた作品なんですよ。「とりあえずステーショナリーが欲しい」という漠然としたリクエストがあっ て、自分の中では『ファイル』というのがあったんですよ。自分もポートフォリオを持ち歩くことがあるし、学生の時って無駄にポートフォリオって大きいんで すよね。先生から「A2にしなさい」って言われていて。でも自分は嫌だからA3にしてたんですね。でもそれでも自分的にはデカいなーと思ってて。本当は A4くらいが良くて「自分の作品をまとめておけるようなファイルがあったらいいな」って思ったんですよね。そこから「どういう形にしよう」とか、「どうい う風にしようか」というのを詰めていった感じですね。Paper Packは5年くらい前から売っているんですけど、いまだにコンスタントに動いてくれていて嬉しいです。

続く

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