6月29日、ロンドンのコンセプトショップ・ギャラリースペースのPrimitiveにてデザイナーNadir Tejaniによるインスタレーション「VISIBILITY SERIES」が開かれた。
Nadir Tejaniは今年ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業予定で、先月行われたプレス向けのショーでもコレクションを発表した新鋭デザイナー。
→Nadir Tejani Graduate Collection at London College of Fashion
彼のコレクション「VISIBILITY SERIES」は、現代監視社会におけるプライバシーの侵害から身を守る服というコンセプトのもと、個々の身体的特徴を極力覆い隠すために黒単色でオーバーサイズのアイテムにより構成されている。
当日のインスタレーションでは、点滅する蛍光灯とノイズ・ミュージック、独特のインセンツに加え、設置された3台の小型カメラからリアルタイムでその場の映像を映し出すという異様な空間を演出。敢えて居心地の悪い空間を提供することでコレクションのコンセプトが明確に表現された。
購買活動及びファッションが個々のアイデンティティの定義や表現に大変重要であるといわれる現代社会において、ファッションによって身体的特徴を隠しファッションに匿名性をもたせるというアイディアは一見否定的であるが、結果として完成されたスタイルは服の奥に潜む個人のプライバシーは覆い隠しながらも、そのアウトフィット自身は非常に特徴的で内なる主張が強く反映されている。
なお今回のインスタレーションはRiyo Nemeth、音響はDominik Salter Dvorak(Felicita)により手がけられ、またNadirのコレクションのハットはPrimitive Londonとのコラボレーションにより制作された。