Interview

ALEXANDER WANG

2012年10月17日〜10月23日の期間、NYブランドALEXANDER WANGが伊勢丹新宿店 ザ・ステージにてポップアップストア インスタレーションをオープンしている。
これに伴いデザイナーのAlexander Wang氏が来日。
10月17日にはDOVER STREET MARKET GINZA COMME des GARÇONS(ドーバーストリートマーケット ギンザ・コム デ ギャルソン)にて特別なインスタレーションもローンチし、各店舗にデザイナーAlex氏が訪れた。

その高い技術と洗練されたデザインは本国のニューヨーク、日本、そして世界で注目を集め、尚も新たに進化し幅を広げるNYブランド、ALEXANDER WANG。今回の初のポップアップショップオープンに至までの経緯と想い、彼の創り出す世界観の背景を伺った。

-初のポップアップショップオープンとなりますが、今回オープンまでに至った経緯を教えて下さい。

今回は伊勢丹さんからお話を頂いたのですが、とても光栄に思い、勿論すぐにお受けさせていただきました。今後はポップアップストアのスペースも限定的にではなく、継続的にやっていく事に成ると思います。

-伊勢丹とのポップアップショップには、日本のクリエーターとのコラボレーションアイテムが出品されていますが、製作期間はどの位かかったかのでしょうか。また自分でコラボレーション相手を探されたと言う事ですが、その経緯を伺わせてください。

そこに至るまでにはとても長いプロセスがありました。コアとなるアイディアはエンターテインメント性のあるアプローチなのですが、ただ単に商品を陳列するだけでなく友達みんなで遊びにきてハングアウトできるようなリビングスペースをコンセプトにしています。そして今回はトリックト アウト ベースメント(地下の遊び場)をテーマに空間を作りました。

一つのライフスタイルを提案するということがアイディアにありました。
それに加えユニセックスのアイテムというもののアプローチも心がけました。例えばベストセラーであるクラシックTeeなどを素材を変えて、新しい解釈で提案しています。
Tシャツは日本の工場の、「A-GIRL’S」という所と今回コラボレーションをしていますが、とても素晴らしい素材を提供して下さっています。ベストセラーのMartiバックパックは今回初めて日本製のコットンキャンパスを使用しています。それとDJ STEVE AOKIと一緒に作ったプレイリストが入ったUSBですね。それも是非注目して頂きたいと思っています。

-インスピレーションの一つとして音楽というのを凄く大切にしているとお聞きしています。
今のお話の中でも、STEVE AOKIさんと選曲されたプレイリストが入ったUSBというのがありましたが、どういった基準で音楽を選曲されたのでしょうか?
また、音楽はご自身にとってどのような物なのでしょうか?あとは変わらないスタイルや好きなスタイルがあったら教えて下さい。

まず、音楽に関してですが、音楽は私のクリエーションにとってとても重要な役割を果たしています。新しいアーティストであったり新しい音楽であったり、“いいな”と思う音楽を見つける事は凄く嬉しい気持ちになります。
例えばグランジであったり、グラムロックであったり、色んな“スタイル”が音楽から生まれています。音楽から何かが生まれる、様々な広がりがあるので、とても面白いなと思っています。
新しい音楽は、ブログや、色々な人の噂や口コミ、“こういうの良いよ。”って教えてもらったりしています。新しい才能を見つけていくプロセスは、私にとってとても楽しい時間です。
音楽の選曲に関してはとても自然な流れで進んで行きます。キャンペーンであったり、ランウェイショーで使う音楽であったり、アフターパーティーでパフォーマンスをしてくれるアーティストを選ぶ時であったり、そういったものを選ぶのも私にとってとても楽しく、とても良い気持ちになるので凄く好きなプロセスの一つです。
何か新しい才能を見つけるというのはとても嬉しい事で、アーティストの個性に一番注目をしています。

-最近どのようなことに興味を持ち、どのようなことにインスピレーションを受けていますか?

インスピレーションは様々なところから得ていますが、私にとって“音楽”というのはとても重要な要素の一つです。プロデューサー、デジタルミュージック、そういった音という物をクリエイトする才能あふれるクリエーターにとてもインスピレーションを与えられています。
最近良く聞いているのはフィラデルフィア出身のDiploというDJです。彼は今世界中でデプロ旋風という物を巻き起こしているのではないかと思うくらい話題のアーティストで、NO DOUBT(ノー・ダウト)やBeyonce(ビヨンセ)だったり、アーティストのプロデュースも手掛けるとても才能溢れるDJです。
アゼリア・バンクスも、YouTubeでアップした一つのビデオから始まり、今やアルバムも出す事になったアーティストなのですが、彼女にも注目しています。

-SOHOの直営店のコンセプトである“Communal living room area(共有のリビングルーム)”はご自身にとってどの様な物なのでしょうか。

はじめてのお店をオープンする時に掲げたテーマなのですが、お買い物を楽しんでもらう為に、プロダクトが商品としてだけではなく、友達や家族、皆で楽しくくつろいでもらえるような空間を創りたいと思っていました。リビングルームという、そこでくつろいでもらうというアイディア、服だけでなくトータルでライフスタイルを提案出来ればと考えていました。お店にはケージーネットがあり、インスタレーションを見せているのですが、日々の瞬間というか、そういった物を、色々なコラボレーションをすることにより表現しています。
環境というものがわかる世界観を表現したい、それが“Communal living room area”という物の考えです。

-日本に以前、来日されて公の場に出られたのは3年前になると思いますが、特にこの3年でブランド自体が成長されているかと思います。ブランドをスタートされてから今までもっとも嬉しかった事と辛かった事があれば教えて頂きたいです。

様々な思い出がありますが、やはり最初のお店をオープンした事が一番強く印象に残っています。
ショップを作るに当たり1から色んな環境、世界感を表現する。スタッフを雇うことでしたり、店内の音楽を選ぶ事もそうです、凄く色んな意味でブランドの新しい扉を開けたと思っています。服だけでなく様々なプロダクトを提供するということもそうだと思いますが。
辛かった思い出は、日々何か問題を解決しなければいけなかったり、壁にぶつかる事があるのですが、そういったものを一つ一つ解決する事が重要だと思っていますし、それを積み重ねることにより新しい扉が開くと思っています。

自分の中で凄く力を入れて来たのがEコマースです。
最初はアメリカ国内だけの流通だったのですが、Eコマースを通じて今は日本のお客様や中国のお客様など世界中のAlexander Wangのお客様に商品を提供することが出来るようになりました。私にとってそれはとても嬉しいことです。

-Eコマースに関連して、今、ブログ、twitter、ピンタレスと、色々なウェブツールにより多くの人達がアレックスさんのコレクションをより早くチェック出来、身近に感じられる様になってきていると思います。そういったウェブツールによりアレックスさん自身、ファンの方達との関係や、ブランドを始めてから変わってきた事はありますか?

ツイッターもやっていますしオフィシャルのフェイスブックもありますし、私自身、ツイッターのコメントを読んだりもしますし、そういったソーシャルメディアを凄く活用しています。
例えばショーのレビューですとかプロダクトの評価であったり、良いコメントでも悪いコメントでも生の声を聞けることはとても重要でありがたいことだと思っています。
私がデザインしているものは最終的には私自身が喜ばせたいお客様の物であったり、ファンの方々であったり、そういった方達の為にやっていることですので、(ソーシャルメディアなどのコメントを通して)その彼等が喜んでくれて永く着てもらえたり、素材が良くずっと着てもらえる物だと再認識できますと凄く嬉しいですし、そういった声を聞くことでデザインにも少なからず影響があります。

−日本、東京はどういう街だと思いますか?

とてもエネルギーに溢れている都市だと思います。その一方で穏やかで、とても心が休まる、そういった感覚も同時にあります。
他のアジアの都市にも行きましたが、そういった両面が共存しているのは、他の都市にはありませんし、とてもユニークな都市だと思っています。
私にとって東京は凄く好きな街であり、インスピレーションをかき立てられる街のひとつです。

−お店に来られる方達にメッセージを頂けますか?

私達がみんなで心と時間をかけて作った場所ですので、楽しんでもらえるととても嬉しいです。

Interview & Text:Kumiko Kobayashi Photo:Ayako Masunaga

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