““緩さ”は一つ根底にあると思います。ファッションの気張らなさというか。その中でファッションの良さを伝えたいと思うので、クリエイションをしているものに凄く反応します”
COLLECTION A/H 2012 “LA MODE, LA MODE, LA MODE”
→Yukiko Yuzawa / CONCENTO PARIS H.P.FRANCE 1/4
―2005年に銀座から六本木に移転オープンしています。何か変化はありましたか?
銀座は凄く質の良いお客様がたくさんいたのですが、六本木はモードという意味で凄く良いお客様、感度の高い方がたくさんいます。例えばJ.W.アンダーソンの洋服をフリーのお客様がぱっと買ったり。銀座は品の良いお客様が多くて悩んでも来たからには必ず買うという方が多かったです。
銀座は品の良い方、六本木はモードがわかるかた、同じコンセプトですがお客様の層はやはり少し違う気がしますね。
勿論一般の方にも買っていただきたいと思っていますので買いやすい値段のものも用意しています。コンサバティブな方もいますし。六本木は女性のお医者様が多いですね。芯のある強い女性の方が多いかもしれません。オンオフがはっきりしている方に顧客さんが多いですね。
―店舗自体銀座と六本木で変えた部分はありますか?
基本的には変えていませんが六本木では銀座の時より奥行きがあり広い空間で見せることが出来ますのでそういう意味では見え方は違うと思います。以前は小部屋みたいな場所でわかる方しか入れないようなところでしたが今は人通りも多いですし、ボディで見せることも出来ます。フリーのお客様も多いですね。
―ブランドや値段を見て買う人が多いのでしょうか?
そうではなく物を見て面白い、それで選んで買って行く人が多いですね。ブランドや値段はあまり気にされない方が多いです。
こちらが顧客さんを制限するのではなく普通の方でも来て楽しんでいただけるようなお店、1点でも良いから何か気に行ってもらえるようなものがあるお店を目指しています。
楽しんでいただきたいですし、だから安いものもおいていますし。
勿論好きなブランドを探しに来るお客さまも中にはいます。若い方ですと「MIKIO SAKABEありますか?」とかそういう方もいますね。
―六本木店の店内を眺めると凄く色があふれている印象です。そういうのは意識されているのでしょうか?
特別意識しているわけではありません。ただ昔のセレクトショップは黒ばかりですが私は昔から色をたくさん使っていました。次の秋冬(2012-13 A/W)は黒といわれていますが私が黒をとっても残ってしまいます。それに売り場が黒ばかりになってしまうと面白くありません。そういうのは重くて時代じゃないと思うんです。
―バイヤーとしてファッションショーに行かれることも多いと思いますがどういう目線で見ているのですか?
ものとしてのバイヤー目線はもちろんそうですが今の時代とか空気感とかを感じています。結果、空気感を感じるものは買ってしまいます。雰囲気もプレゼンの仕方もそうですがやっぱり空気感が大事です。気持ちを表している物をみると反応してしまいます。
ショーがやっぱり世界に向けて発信するメッセージだと思いますので。
―ファッションは時代によって全然変わってきますよね。
変わってきますね。人の気持ちが全然変わってきますから。凄くそこを考えますね。
―では湯沢さんにとって今の気分ってどんな感じなのでしょうか?
“緩さ”は一つ根底にあると思います。ファッションの気張らなさというか。その中でファッションの良さを伝えたいと思うので、クリエイションをしているものに凄く反応します。
今はファッションとして洋服を着込んでいた時代。クチュールの要素も入っているものだったり60、70年代の雰囲気が来ているのではないかと思っています。(CONCENTOで扱いのあるロンドンブランド)ミーダムカーチョフ(Meadham Kirchoff)もクチュールの要素を踏襲していますよね。