Interview

Cenci

ロンドンは西ノーウッドにあるヴィンテージショップ、“Cenci”(チェンチ)。
Mashimo氏とDede氏が経営するこのヴィンテージショップは、ヴィンテージ40s、50s、60s、70sのアイテムが豊富で、此処、Cenciでしか手に入らないヴィンテージ物がある他、アイテム数も豊富に揃えている。
それは有名デザイナーや業界人が着想を得に足を運ぶ程。
今回、Mashimo氏のパートナーであり経営者のDede氏に絶えず賞賛され続けるCenciの理由は何なのか。理由を紐解いてみた。

ーMr.MashimoとMs.Dedeのご自身について簡単な経歴を教えて下さい。

Mr.Massimo:フローレンス出身のイタリア人です。本来、“Cenci”のフラッグショップは1973年から1989年、イタリアのフローレンスにあり、1985年にロンドンのコベントガーデンのモンマス通りに移りました。Mashimoは素晴らしいシェフでもあり、フローレンス郊外の丘にレストランを経営していました。
Ms.Dede:ウィスコンシン出身のアメリカ人です。私はウィスコンシン大学を卒業した後に美術史を勉強する為に、フィレンツェに行きました。そしてMashimoと出会い、結婚し、一緒にフローレンス近くでレストランを経営し、私も1975年から1992年までポンテベッキオ近くのグイッチャルディーニ通りに衣類店を持っており、服を販売していました。

ーVintageに興味を持ち始めたのはいつからですか?

十代の時、フィレンツェで古着を買った時以来Mashimoはヴィンテージに興味を持っています。私が興味を持ったのは少し後、“Cenci”がロンドンにオープンした1980年代中頃です。

ー古着、ヴィンテージの仕入れ、流通はどの様に?

私達は主にイタリアで古着を買います。
Mashimoが全てを選びます。
衣類はロンドンの西ノーウッドにある私達の倉庫に輸送され、そこで洗い、販売します。
スーツケース、ハンドバック、宝石、財布、ベルト、帽子、カフスボタン、スダッズ等のアクセサリー類は、アメリカで私が選びます。

ーどこの国の物を中心に取り扱っていますか?

アメリカ、イタリア、スイス、オーストリア、フランス、ドイツそしてイギリス物です。
時おりオーストラリア古着、更に60年代アメリカに輸出する為に作られた日本製品もです。

ーどの様なお客さんが来られますか?

デザイナー、メーカー、音楽家、演劇、オペラ、ダンス、テレビ、フィルム関係の方達が顧客の他、自身のテイストとスタイルを持った人達です。

ーCenciでは様々な年代、国のVintageやUsedを取り扱っていますが、何処から仕入れているのですか?国や年代に寄って仕入れる場所は違うのでしょうか?

私達はほとんどの服をイタリアから買います。
イタリアのリサイクル工場は、新しい服にウールを使用する為に原料として古着を買い、その服からウールを取り出しているのです。
彼らは500年以上の間、イタリアでウールをリサイクルしていました。
もし、あなたが新しい衣服を買い、“virgin wool”と表示されていなかったら、それは羊から作られた物ではなく、古着をリサイクルして出来た“wool”物です。

ーどの位のペースで服を取り替えていますか?

3週間毎に新たな服を用意して取り替えています。

ーVintageを調達する時に気をつけている点やセレクトする際にこだわっている点はありますか?

全てのアイテムは私達の必要性に応じて購入します。
ユニークな物はどんな状態でも購入しますが、ほとんどのアイテムは状態の良い物を購入します。時代、ファブリック、デザイン、ボタン等もセレクトするポイントです。

ーアメリカヴィンテージとヨーロッパヴィンテージの違いを教えて下さい。

アメリカは既製服の産業が他の国々より長いです。
ヨーロッパはずっと後まで、服を作る工場はありませんでした。
アメリカの衣類が流れ作業で製造されている間、ヨーロッパの衣類は手で仕立てられていました。

ー昔、コベントガーデンの方にもお店を出していた様ですが、今あるCenciとコベントガーデンの方にあった時のCenciとの違いを教えて下さい。

コベントガーデンのお店は非常に小さかったです。
諸経費は非常に高かったです。
2004年の末に契約が終わった時に、私達は小売店を西ノーウッド、私達の卸売り倉庫に移しました。
西ノーウッドでは広いスペースと多彩なヴィンテージアイテムを揃えています。

ー何故コベントガーデンにあったお店を閉じたのですか?

モンマス通りの一時的な取引(主に観光客)では諸経費を支払う事が出来ませんでした。コベントガーデンに残る事は財政的に難しかったのです。

ー何故、都心ではなくWestNorwoodをベースにしているのでしょうか?

先程述べた事と、私達はより広いスペースを持っています。
倉庫とお店を行き来する必要がありません。

ーどの位のアイテムをストックしていますか?

50万アイテムです。

ー日本のファッションについてどの様に思いますか?

日本のファッションはとてもアヴァンギャルドでイギリスのストリートファッションの様です。
若者には彼ら自身のスタイルがあって、有名デザイナーに感化を与えています。

ー日本人デザイナ−でお気に入りの人はいますか?

川久保玲です。

ーVintageもそもそもデザイナーの手によって作られたものですが、現在作られている洋服、そしてデザイナーとでの違いを感じますか?

デザイナーズ服はビックビジネスになりました。
数十年前のクチュールはエリートの為だけでした。
今、現代のデザイナーはより広い範囲の顧客へと向けています。
これは大量生産を必要とし、そしてこの多大な生産費を抑える為に東洋で生産されます。品質はその結果損なわれはしますね。

ー現在のヴィンテージショップついてどのように思いますか?

多くのヴィンテージショップはヴィンテージだけを取り扱っていません。
彼らは1980年代と1990年代の物をヴィンテージ考えている様です。
Cenciでは、40年以上の物をヴィンテージとしてきました。ロンドンにオープンしたときは(1985年)1970年の物は只の古着としてきました。今では80年代と90年代の物をストックしています。

ー今後、Cenciとしてどの様にありたいですか?

Cenciは好況を継続すると思います。それは元々のオリジナル服とアクセサリーを提供する事が出来るからです。

ーヴィンテージにこだわる理由は何ですか?

ヴィンテージはとてもグリーンだと思います。
何故なら洋服を再利用しているからです。
私達は未来の地球や資源の事を考えなければいけません。
それにヴィンテージは現代の衣料より良質で良い組成だからです。

Interview, Translation & Text:Kumiko Kobayashi

コメントは停止中です。