Interview

まつゆう* 2/2

ブランドが好きだったりもするけど、基本的にはこのブランドが超好きとかこのブランドだから好きとかそういう風に見ていなくて、物体を一つのものとして可愛いと思って見ているんです。それがたまたまどこかのブランドだった、みたいな

―色々やられていますがまつゆう*さんの肩書って何になるんですか

肩書はいいのが見つからなくて、今はとりあえずブロガー、プランナー、クリエイターなどにしているのですが、どんな肩書きが良いか考えています。
お仕事をいただいた時に「これをやるなら、こうした方がいいと思います」って逆提案したりしていたのですが、それが採用されることが多くて、最近はそういう仕事が増えてきたので、プランナーという肩書きも付け加えています。

―ファッションの面で言うと今回はまつゆう*さんの視点で東コレの速報をされていましたね

fur furのチダコウイチさんから編集の方を紹介してもらって、「次の日に東コレあるから取材してください」って言われて急遽やることになったんです。
 
―以前からファッションショーに興味があったんですか

興味はありました。私は何かを見て人に伝えることが好きなんですが、それぞれのジャンルのジャーナリストや専門家の方がいますよね。でも、そういった方の知識ってすごく難しくて、普通の人や若い子に伝えるには難しいなと思っていて、難しく書かないで簡単にしてあげることでいろんな人が興味を持ってくれたり、購買意欲につながるんじゃないかなって思うんですよね。
今回話を頂いた時にも、「難しい言葉では書かないで、可愛いとか面白いとかそういうことを混ぜつつ、普通に書くようなブログみたいことがやりたいんです」って言ったら、「そっちの方がいい」って言ってくださったんです。専門的なことは一切書かないでいいということだったので、楽しくやらせてもらいました。

―全てiphoneで写真を撮って、投稿もiphoneでされていましたが凄く早いなって思っていました。自分も取材に行っているのでその早さは凄く尊敬します
 
そうですね。専門家ではない分、その部分は意識しました。

―最近はTwitterを通じて一般人も呼んだりしてるんですけど、それまでは一般人をいれることはほとんどなかったですね。昨年はニコ動でJFWのパーソナリティをされていましたがショーは見に行ったんですか 

去年はニコニコさんのお仕事で「ガッツダイナマイトキャバレーズ」と「リズリサ」を、それに「furfur」はチダさんに呼んで頂きました。

―では本格的に東京コレクションを見たのは今回が初めてだったんですか
 
初めてですね。だから凄く新鮮に書けました。編集の方に「びっくりした!みたいな内容しか書けないですけどいいですか?」って言ったら、「世の中の人もみんな初めて見たらそう思うからいいですよ」って言っていただいて。
どのショーに行くかは自分で行きたいのだけ決めて行きました。「アンリアレイジ」も行きたかったんですけど、スケジュールの都合で見れなくて残念でした。 

―ショーだけでなく展示会までフォローされていましたね

そうですね。別の仕事などで行かれなかったもの以外は全部行きました。中にはもちろん良いと思ったブランドばかりではないですが。
 
―実際ショーで歩いているのを見て「このまま着たい!」とか思ったりはしましたか

全然思いましたね。私は凄い派手な服好きで、形が変わってるものも好きなので「ミントデザインズ」はたくさんオーダーしました。普通に全然着れると思って。
今までも展示会には結構行っていたのですが、東コレブランドとなると「furfur」くらい。それ以外となると「ミントデザインズ」が初だと思います。

―ショーを見て一般の人達にでも落とし込めるって思いましたか

モノによりますね。ミントデザインズは好きな人が全然いると思ったし、ノゾミイシグロも好きな人がいると思います。roomslinkは普通に買えるものが多いと思いました。
ミキオサカベの超高いヒールの靴も気になりました。
ミントデザインズは高いけど着れる服がすごく多く出てた気がします。それで展示会に行こうと思ったんです。ノゾミイシグロさんは一点物が多いって話を聞いていて、私がモデルをやってた時のスタイリストさんもたくさん来ていた。それにエッジが効いてる人が多かったので、どちらかっていうとアーティストの衣装用なのかなって感じで見ていました。

―結構いろんなこと考えて見てるんですね 

iPhoneで写真を撮りつつ、いろいろ考えてたものを全部メモパッドに箇条書きにするんです。それを元にiPhoneで文章を書いて写真をチョイスして、その場でiPhoneから原稿を送るっていうやり方でした。

―もこもこ獣にスナフキン、アンディーウォーホル男子とか。こういう表現面白いなって思いながら見てました。エディターの人たちって絶対こういうこと書かないじゃないですか

ファッション評論家の人が「もこもこ獣」なんて書けないですよね。でも私は専門家じゃないから許されるみたいな面もあるし、「好きなだけ好きな言葉で書いてください」って編集長の方に言われていたので書けたんです。
 
―海外ブランドとかは買われたりするんですか

あまり買わないですね。CHANELとかは可愛いと思うし、Diorはジュエリーが好きですけど、絶対に買えないから、ほとんど持っていません。見てるだけです。

―買い物は好きなんですよね

凄く好きです。洋服は本当にたくさん点数持ってますね。でもおしゃれだと思われたらやりにくいので「ファッションブロガーと呼ぶのはやめてください」って言っています。それに「ファッショニスタ」とか書かれることもあったので、「普通にブロガーでお願いします」って。
洋服は撮影とかで使って、もうほんとにこれは使わないなって思ったら友達や妹にあげたりしています。
衣装もタレントさんはスタイリストさんが借りてくれるのですが、私は自分で用意していて、それを望まれてる部分もあると思うので自分で買っています。
 
―でもお気に入りの格好で出なきゃいけないから、結構大変ですよね

そうですね。美容やビューティー系のものも凄く好きなので衣装代と化粧品代がものすごいありますね。

―雑誌は見たりするんですか

雑誌はもう雑食で何でも見ますね。特に4月号と9月号を見れば流れが大体わかるので、その号だけ一気に買います。

―流行は意識されるんですか

意識はしてないですね。あえてしないというよりも、興味がなければしない。だけど自分がすごく好きなものが流行ると、「今年はこれが来るから安く買える」と思って、いろんなブランドをチェックして、109にも行ったりします。

―109なんていったら「あ、まつゆう*だ」ってならないですか

Twitterに書かれることもありますし、お店で声をかけられることもあります。

―原宿とかも行ったりするんですか

原宿は好きです、ラフォーレにも良く行きます。裏原ブランドはあまり詳しくないです。 

―森ガールが流行った時にはその代表的な有名人の一人とされていたのですがそれに関してはどう思っていたんですか

私がそこに並べられた理由は、「森ガール」という言葉を作った人が私のファンの方だったそうです。その方は私のブログを見てくれていて、酒井景都ちゃんやFUDGEが好き、そういったいろいろなスタイルをミックスして、総称として「森ガール」と名付けたそうです。

私は野外フェスが好きだったので、ヒッピーの格好が好きだったんですが、タイダイやインドっぽい強い色のものがあまり好きでなかったので、自分でオーダーメイドしてパステルカラーでパッチワークで作ったり、自分流にした格好でフェスに行っていたんです。それをブログにたくさん載せていたので、それが森ガールっぽいということにつながっていったのかもしれません。

―森ガールの例として写真が出ていたことに対して嫌悪感はなかったんですか

全くないです!むしろうれしかったですよ。悪い意味で使ってるのではないから、それを良いと言ってくれる人がいるので良いと思います。

―何着てるんですか?とか言われることも多いんじゃないですか

よく言われるので、言われる前に書くようにしてます。ブログの下にclothesって書いて、服~服~服~みたいな感じで、ブランド名を書いてリンクしています。

ブランドが好きだったりもするけど、基本的にはこのブランドが超好きとかこのブランドだから好きとかそういう風に見ていなくて、物体を一つのものとして可愛いと思って見ているんです。それがたまたまどこかのブランドだった、みたいな。だから109のものは着ないとか安いものは着ないとか、そういうことはないです。H&Mやユニクロのファストファッションも着ます。新しいものが好きかもしれないけど、古いものも好きです。

―色々と情報を持っているイメージが強いのですがそういう情報はどこで手に入れているんですか

 
私は友達とか知り合いから聞いてます。Twitterもそうなのですが、基本的にはあまりウェブを見ないんです。ブログも読まないし、Twitterも周りの友達のタイムラインぐらいしか読まないんですよ。見るとしたらショッピングサイトくらいですね。

―新しいサイトで注目してるものとかありますか

よく聞かれるのですが、Twitterは落ち着いていくかもしれないですけど、ツールとして残ると思うんですよ。ブログもみんな使っていますよね。だから完全になくなることはなく、それを共存して、SNSとして使っていけばいいんじゃないっていうことで思っています。流行り廃りとかじゃなくて使いやすいものを使えばいいんじゃないかなと私は思っています。
facebookは起業したい人とかお仕事に使われるツールとか公のオフィシャルの場でやり取りをする人が、「少し堅いmixi」みたいな感じで使うのが良いのかなっていう気がします。実名じゃなくてもmixiはできるじゃないですか。だからそういう遊びとか楽しんだりする方はmixiがあるからっていう風になるのかなと思ってますけど。

―なにかこれからやりたいことはありますか

やりたいこと・・・海外に向けて日本のカルチャーやいいところを紹介出来たらいいなと思っています。

Interview & Text:Masaki Takida Photo:Tomohiro Horiuchi

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まつゆう*
ブロガー、モデル、クリエイター、プランナー、アートユニットchelucy主宰。
東京生まれ渋谷育ち。15歳の時に小学館のティーン誌「プチセブン」のコンテストで約四千人の中から入賞し、モデルデビュー。サントリー「C.C.レモン」など50本を超えるCMに出演し、NHK「デジタル・スタジアム」やCBC「ミックスパイください」などで番組アシスタントも務めた。
1998年に自身のライフワークとなるアートユニット「chelucy」の活動を、三日三晩で作り上げたウェブサイトにて開始。
10万人を超える女性ユーザーを擁した日記サービス「ヤプース!」を制作後、後継ブログサービス「ヤプログ!」のプロデューサーを務め、米Wired
Newsによる特集「日本の注目セレブブロガー(Japan’s Hottest Celebrity
Bloggers)」の1人に選出されるなど、影響力の高いブロガーとしても圧倒的な支持を集める。
現在、twitterのフォロワー数は約20万人に近く、ネット時代における新しい女性クリエイターのあり方として注目されている。
著書に「まつゆう*のゆるゆるtwitter入門」「ツイッターで人気爆発!みんな大好きアヒル口」「チェルシーのおしゃれ入門」がある。

HP:http://yaplog.jp/matsu-you/
Twitter:http://twitter.com/#!/matsuyou

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