Interview

PRIMITIVE LONDON

PRIMITIVE LONDONは、ロンドンHaggerston駅の高架下に2010年にオープンしたブティック、ギャラリー、イベントスペース。オーナーをつとめるのはネメス・ルイとアンドリュー・グリーン。PRIMITIVEではその2人が自らの手でピックした東京、ロンドンのアンダーグラウンドファッションブランドをショーケイス。アート、ファッションなどのカテゴリーにこだわらずに、クリエイティビティーとして面白いものを作るということを大事にしている。

―PRIMITIVE LONDON を始めることになった経緯をおしえてください

私たちは自分達の作品を見せることが出来、また私たちの周りにいるファッションやアート、音楽等特定のカテゴリーに属さない才能ある友人たちの作品を展示できるスペースを持ちたいと思っていました。
東京のインディペンデント系デザイナーのファッションは有名ですが、ヨーロッパでそのようなブランドを手に取って見れる場所がないと感じていたのも理由の一つです。東京とロンドンのデザイナーのギャップを埋める、架け橋になるような場所を作れたらと思ったのです。ロンドンに東京のそういったインディペンデントなデザイナー達を紹介し、また逆に日本にもロンドンのインディペンデントなブランドを紹介していけたらと思っています。

―PRIMITIVE LONDON という名前にはどのような想いが込められているのでしょうか

プリミティブと言う名前はある種洞窟のようにも見えるスペース自体から着想を得ています。また“何かの始まり”という意味も込められています。私たちのプロジェクトの始まり、私たちの旅の始まり・・・・

―なぜロンドン、それもファッションエリアとしては未開拓のイーストロンドンのHaggerstonという場所を選んだのですか。ショップをオープンするにあたり東京は考えなかったのですか

それは成り行きというか、とても偶然です。この素晴らしい高架下の場所を私たちのスタジオの僅か1分足らずのところに見つけたのです。
Haggerstonから程近くにあるダルストンやショーディッチという場所では本当に様々 なことが起きているのになぜHaggerstonには何もないんだろうっていつも疑問に思っていました。Haggerstonにはクリエイティブな人が多数住んでいますが心躍るような出来事はほとんどありません。

―二人ともファッションそしてアートにも造詣が深いですがショップはファッションやアートなどの位置づけが重要だと思っていますか

私たちはカテゴライズされることが必要だとは思っていません。それらが”クリエイティブ“であるかどうかということが重要なのです。人それぞれ表現方法は様々です。私たちは常にそういった境界を無くしたいと思っています。”これがファッションです“とか”それがアートです“とかそんなことはどうでもよいのです。
私たちの高架下のギャラリーはまっさらのキャンバスのようなもので、デザイナーがそこに色付けをしていくのです。

―ロンドンの人達の日本のインディペンデント系デザイナーブランドに対する反応を教えてください

BanzaiやBALMUNGなどのブランドはユニーク且つとても”東京”らしいブランドです。そのようなブランドはロンドンにはありません。良い意味で人々にショックを与え、ファンを増やしています。

―お店を作るにあたって参考にしたものなどはありますか

私たちはアート、インスタレーション、音楽、そして工業的なもの等様々な事から着想を得ています。私たちの美学はDIYそしてインダストリアルです。ショップは鉄道の高架下にあります。だからその場所自体が既に“raw”であり”Primitive”なのです。
ショップはその空間にあったデザインとなっていますがそこに入るデザイナーやクリエイター達によってまたその空間は常に変化、発展を遂げていきます。

―ショップオープン前の初となるエキシビジョンにルイさんの父であるクリストファーネメス氏を選んだのはなぜですか

実はそのエキシビジョン以前に2つのエキシビジョンを行っています。最初はグループエキシビジョン、そしてその次は音楽イベントでした。
そして私の父親クリストファー・ネメスのエキシビジョンをやることが予定されていました。彼は私たちのプロジェクトの為に何が出来るか考えていました。イベントに関して1ヶ月もの間共に計画してきました、そして突然彼はこの世を去ってしまったのです。しかし私たちは予定通りエキシビジョンを行うことに決めました。エキシビジョンは彼と生前予定していた日にち通りに行うことが出来ました。彼のことを長年知っている友人たちからのかけがえのないサポートを受けエキシビジョンは完成し、またエキシビジョンはとても愛に溢れたものとなりました。

―ルイさんにお聞きします。あなたの父 クリストファー・ネメスという存在があなたに与えた影響はありますか。また自身のブランドを立ち上げたいという想いはありますか

ルイ:彼が作ったものだけではなく、彼の哲学など彼が私に与えた影響は測り知れません。私は今現在アンドリューと2人でプリミティブというブランドをやっています。しかし近い将来私自身のブランド、もしくは父親が作ったChristopher Nemethというブランドに何かしら携わることが出来たらと思っています。

―今現在注目しているブランドやアーティストはいますか

私たちは常に自分達の周りで起こっている何かを探しています。私たちの毎日の生活の中から見える何かを探したいと思っています。

―どのようなブランドを扱っているのですか。作品やブランドをピックアップする基準について教えてください

私たちが今現在扱っているブランドは以下の通りです。
ロンドン: Primitive, Ava Catherside, Nadir Tejani, Joseph Nigoghossian, Dave Baby, Strnge, Dobedo, Bergman Neceva, Ruri Tayama.
東京: Banzai, Giza, Balmung, Ambush, ilil, Dead Kebab.
トレンドやコレクションといった考えでは選んではいません。私たちが素晴らしいと思うものを紹介していきたいと思っています。また、自分達がそれを着たいかどうかという視点では選ばず、それがアートピースたり得るかどうかという基準で選んでいます。

―”THREE” exhibitionでは高円寺のキタコレビルと連動してエキシビジョンを開催していましたが今後も日本とロンドンを繋ぐイベント等をやっていくのですか

私たちは東京と出来るだけ多くのことでコラボレーションしたいと思っています。ルイは東京で生まれ、アンドリューは1年半過ごしました。だから私たち2人とも東京と言う場所に愛着を持っています。東京の素晴らしい文化を出来るだけたくさんの方たちとプリミティブと言う場所で共有できたらと思っています。

―今後のPRIMITIVEの展開、目標、など教えてください。またこの“場所”をどのような場所にしていきたいですか

私たちの次のインスタレーション/イベントは私たちのお気に入りのブランド Ava Cathersideによるものです。Ava Cathersideは2人のイタリア人デザイナーによるブランドでロンドンをベースにしています。彼らがどんなものを見せてくれるのかとても楽しみにしています。
 
私たちはまた現在オンラインショップの開設に取りかかっています。それをやることにより日本からのお客さんやその他の国のお客さんも私たちのユニークで個性的なアイテムを閲覧、購入することが出来るようになります。
ファッションをやっている人だけに限らず、アーティストやその他のクリエイティブな人々とコラボレーションしたいと思っています。そして最終的には東京にもお店をオープンしたいと思っています。今現在は自分達のブランドをより発展させ、より多くのアイテムをクリエイトすることにも尽力しています。

Interview & Translation:Masaki Takida

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