Interview

Jenny Faxの”エマニエル夫人” 1/2

MIKIO SAKABEで坂部氏と共にデザイナーを務める台湾出身のシュエ・ジェンファン氏によるブランドJenny Fax。Jenny Faxは昨夏立ち上げられたブランドで当初オンライン限定で販売をスタートし2011年4月TSUTAYAで行われたMIKIO SAKABE×最前ゼロゼロのイベントで本格的にデビューした。

→Jeny Fax Interview
→Jenny Fax 2011-2012 A/W Collection

―まず今回のコレクションのイメージを教えてください

イメージは70、80年代のポルノ映画の色です。映画『エマニエル夫人』ではアジアに観光に行き、一度に香港や台湾、シンガポールベトナムなど様々なアジアの国を旅している。そのイメージが自分の子供の時の色の記憶とシンクロしたんです。その色と私が小さい頃に好んで着ていた洋服、それにイラクやインド等の貧困国のストリートチルドレンのイメージをミックスしています。凄くリアルに見えるシャツ等のボディペイントは資生堂のクリエイティブの方々に描いてもらいました。女の子の遊びのようにしたかったからコーディネートで見せるよりも描いて見せる方が良いと思ったんです。赤をたくさん使っているのですが、それは占い師が言うには”赤”が幸福を呼ぶ色だからです。

―残念ながら今回のショーはMIKIO SAKABEを見る為、ステージの前にいた僕らを含めプレスのほとんどはJenny Faxのショーがどんなものだったのかほとんど見ることが出来ませんでした

今回本当は動きのあるプレゼンテーションにするつもりはなかったんです。エントランスでプレゼンテーションを行い、少しずつ会場に客入れをし、お客さんが会場に入る時に見れるようにする予定だったんです。しかし結果的に客入れが終わってからのプレゼンテーションになってしまい7分ほどプレゼンテーションを行っていたのですがステージに近い人達はそれに気付くことも無く、見ることが出来ませんでした。音楽に関しても無音だと感じた方が多かったと思いますが実際は音楽も流していました。
アイデアとしてエスカレーター、もしくはステージを使うというチョイスもあったのですがもし私のブランドが使ってしまったらJenny Faxが最初なのでMIKIOSAKABE(エスカレーター)、アイドル(ステージ)にとって新鮮さが無くなると思ったんです。
逆に入口に近い場所で見ていた一般のお客さん達にとっては凄く近い位置でプレゼンテーションは見れたと思うのですが・・・

―音楽はどのようなものを流していたのですか

エマニエル夫人の映画のオープニングソングとフランスの70、80年代の音楽をミックスさせたものです。
ショーのイメージとして現れては消え、記憶の中に微かに残るイリュージョンのようなものを作りたいとは思っていましたがイリュージョンすぎて誰にも見てもらえませんでした。


―プレゼンテーションでは何体披露したのですか

6人ですね。


―MIKIO SAKABEと一緒にやる意味というのはどう考えたのですか

私がもし単独でショーやプレゼンテーションをやると言って果たしてどれほどの人を呼ぶことが出来るのだろうか。一緒にやれば例え自分のことを知らない人でも見ることが出来る。そう考えれば一緒にやる意味というのは少なからずあったと思います。

―順番は最初だったのですがそれにはどんな意図があったのですか

私の洋服はアイドルほどインパクトはない。だから最初にやった方が良いのかと思ったんです。

―最初のコレクションでは自分の着たい物を作ると仰っていましたが今回のコレクションに関してはその意識は変わりましたか

半分半分ですね。自分が着たい服も勿論ある。でもコレクションのほとんどは自分自身が小さい頃に同じようなアイテムを着ていたんです。ただ、私が小さい頃に着ていた服をそのまま作るわけにはいきません。そのテイストを残しつつも今の雰囲気を取り入れてデザインしています。

―前回のビジュアルが面白かったのでショーと言う形ではなくビジュアルで見せた方が良かったかもしれないとは正直感じました

前回は写真のみだからもっと計算出来たんです。今回初めてショーをやったのですがビジュアルで伝えるイメージほどは計算してやることが出来なかった。
今回ショーをやりたかった一番の理由は私の妹がショーをやりたいと言ったからです。

―前回のビジュアルにはモデルとして登場していましたが今回のショーには出ていませんよね

(震災前に)ショーに合わせて飛行機も取っていたのですが会社員なので新しい日程の為に休みをとることが出来なかったんです。
正直私自身はそんなにショーには興味がなかった。でも妹がやりたいならやろうかなって思ったんです。なぜなら妹はこのブランドにとってのミューズだからです。

―コンプレックスがある人達にとってのミューズということですよね

そうですね。私もその中の一人です。ある雑誌で友人が友人を紹介していきスナップをしていくというプロジェクトがあったんです。友人を介してそのプロジェクトに参加することになったのですが写真を送ったら相手の編集者から数日後「このプロジェクトは無くなりました」という連絡がきたんです。でも発売された雑誌を見たら実際プロジェクト自体は継続していて、私が単にその企画には合わないということだった。そのことに関して怒ってはいないのですが正直これまでにもそういう感じのことがいっぱいあったんです。友達の中には私のことを”Cute”と言う人もいるけど、見る人によっては私は不細工なのかもしれない。不細工と言われることに関しては問題はない。でも微妙なポジションって嫌ですよね。だからそういったコンプレックスは凄くあるんです。美人なら美人、不細工なら不細工の方が幸せだと思うんです。中途半端は凄く嫌ですね。
綺麗な人は何を着ても綺麗だし、完全に不細工であれば逆にチャレンジもしやすいと思う。でも自分のポジションは一番難しい。
だからそういうコンプレックスがある人に着てもらって少しでも自分のことに自信を持って欲しいと思っています。
私が今回コラボレーションをお願いした柳アリちゃんもコンプレックスではないのですが少し変わった部分がある。彼女は誉めたらどのように反応していいかわからない。それに自分の為にはそんなに一生懸命になれないタイプな気がするんです。「今回出来ないのであれば次でいい」みたいな。でも誰かの為にやるのであれば彼女は凄く頑張れる。
(彼女は)自分に少し似ている部分があると感じたから今回一緒にやりたいって思ったんです。

―MIKIO SAKABEでも柳さんとコラボレーションしていましたが元々はJenny Faxの方でオファーしていたということですね

そうですね。彼女は私の中でのミューズ像に近かったんです。だからモデルとしても出てもらいました。今回のショーで使ったモデルもほとんどが一般人の方です。

―全員素人モデルでも良かったのにプロのモデルも混ぜたのはなぜだったんですか

それは初めてのショーだったから素人だけで構成するのではなくプロのモデルも混ぜた方が良いと思ったんです。でも実際誰も見ることが出来なかった。だから結果的には別に素人だけでも良かったかなとは思います。
ただプロのモデルも自分のイメージに合うスペシャルな雰囲気のある子をキャスティングしています。美しいけどどこか陰のあるようなイメージのあるモデル(白いニットを着ていたモデル)。もう一人の子は前回のビジュアルでも使ったモデルです。その他の素人の子は前回のビジュアルで使った子が何人かいます。
ショー自体はたくさんの人に見てもらうことが出来なかったので成功とはいえなかったかもしれないけどモデルさんは「楽しかった」と言ってくれたので良かったかなとも思うんです。

―モデル選びには凄く拘ったようですね

そうですね。その部分は凄く拘りました。

―Daniel Sannwaldが撮ったイメージビジュアルに使った女の子は一般人の方ですがなぜ彼女だったんですか

彼女の顔は凄く’エロい’。その雰囲気が今回のイメージである‘エマニエル夫人’に合ったんです。でももし妹が来れるようであれば彼女をメインにしたかった。今回の洋服の中には凄く小さいパーカがあるのですが私の妹は少し太っていて子供のような体型をしている。それを彼女が着たらぴったりとボディラインが出て逆に凄く可愛いなって思っていたんです。
でも妹は6月に(日本に)来れると思うのでその時は妹をモデルにAV(アダルトビデオ)のようなイメージのビジュアルを撮りたいと思っています。妹は少し怖がっていますが・・・。

続く

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