「悩んだが結局自分に出来ることは震災前も震災後も服を作ることだけだった」とあるデザイナーは言った。
3月11日の震災、報道され続けている被災地の現状、電力不足、そして原発の問題。
これらはファッション界にも多大なる影響を与えた。
3月後半に予定されていたJFWは中止となり、そのほか多くの展示会やイベントが中止、延期となった。その一方でEtw.Vonneguetは予定通りJFW期間中にコレクションを行い、また予定されていた展示会を行うデザイナー、一度は延期したショーを開催するデザイナーも増えてきた。
今回コメントを寄せて頂いたデザイナー達は、25~27歳の若手デザイナー達である。
Christian Dadaの森川氏は震災直後16日にショーを予定、延期していたが、25日にショーを4月11日に行うことを発表した。またBALMUNGのHachi氏も4月5日に行われる予定だったランウェイショーを延期している。カガリ氏は4月に予定されていたエキシビジョンを予定通り行う。
デザイナー達は、今なにを考えデザイン、クリエイションしていくのか。
Text:Changefashion
“今回の出来事であなたのクリエイションに変化を与えましたか。また今後なにかしらの影響はありますか”
影響はあると思います。物事の必然性を改めて考え直す強い経験になりました。
言葉にはうまく出来ないですが環境全体のリズムが変わるので自分のクリエイションも影響を受けます。自分は余裕があるような立場ではないので安易にチャリティ募金のような考え方は自分では違うなというのも強く感じました。
(今回の出来事で)より自分の仕事を追求しようと思いました。
BALMUNG / Hachi
この度の震災、並びに事故により様々な事を考えました.
様々な要因から人々へ精神的に齎した影響というのは計り知れない物があると思います.勿論私の社会に対する意識が変わったという事も事実です.此れから先も私が出来る事,やるべき事,協力出来る事は積極的に行いたいですし何か支援出来る事を見付けやりたいと考えています.
私の場合は物作りをする際にやるべき事とやりたい事を見定めクリエーションしているという意識を常に持ち,物を作り出しています.この度の震災により,もしかしたら意識的に知り得ない面+潜在的という切り口からみれば何らかの変化があるのかもしれません.其れを踏まえた上でですが,私自信は今回の震災によってクリエーションへの直接的な大きな影響は無いと考えてます.というよりは意識的に変化を齎すような事はしたくないという事+自分のやりたい事,やるべき事に対し振れを生じさせたく無い,貫き通すべきであるという気持ちが強いのかもしれませんしそうするべきである,と思います.”柔軟に筋を通す”という事が重要なのでは無いかと私は考えます.
bodysong.
今回のコレクションに関して自分のスタンスを変えてチャリティやメッセージ性の強いものに変えるということはありません。自分は半年間そのコレクションに集中してきているのでそこにチャリティだったりアディショナルでテーマを加えていくことは最初に作ったコレクションのイメージからぶれてきてしまうからです。
ただ今後に関しては今回の影響でクリエイションに変化が現れることは否めないと思います。
今回のショーのテーマは“GLEAM”でこれは微かな光という意味なのですがこれは震災前から決まっていたテーマです。僕が今回描きたかったのはアティチュードの面で、混乱する世の中を生きる人達にとって微かでも光になれればという想いで今回の作品を創りました。
コレクションを見てもらった人に少しでも元気を与えられるようなクリエイションを見せたいと思っています。
CHRISTIAN DADA / モリカワマサノリ
震災とクリエイションは少し切り離して自分の美意識を追求したいと思っています。
色々なものは変わると思いますが変わりたくないなと思うものもあります。
ただ正直まだわかりません
kagariyusuke / カガリユウスケ
自分自身と、生み出す作品とは密接にリンクしているものでありたい、言うなれば、自分の人生の一部であるようなものにしたいと思っています。
日々感じていることを表現しようと思っているため、今後なんらかの形で、私のクリエーションに影響してくるかもしれません。
ただ、私の物作りは完成まで時間がかかるので、感じたことをすぐにそのまま表すわけではありません。そのため、今は具体的にどのような影響になるかはわかりません。
今制作中の作品は、昨年の末から構想を練り始めていますが、不思議なことに、今の自分の心理を表すかのような世界観になっていました。これがどういう意味なのか、これから自分自身で読解していきたいと思っています。
YUIMA NAKAZATO / 中里 唯馬