Interview

writtenafterwards / 罪と罰 1/2

6月12日writtenafterwardsの10-11 A/W Collectionが行われた。『罪と罰』をテーマに行われたランウェイショーはTabloid発のアートプロジェクトTHE ART HOTEL NEST TOKYOの第1弾のイベントの一環として一般客も巻き込んで行われた有料イベント。JFWから遅れる事2ヶ月、writtenafterwardsは3シーズンぶりに衣服としての表現を選んだ。

―まず今回のコレクションのテーマである『罪と罰』はどこから来たのですか

『罪と罰』は最初はファッションの中でのいたずら、もっとファッションにいたずらがあってもいいなというのをイメージとしてそういうのをテーマに出来ないかなというところからきています。もう一つは今回女性観ということを出そうと思った時にローティーンなものを表現したかったんです。ローティーンの中でのいたずらということを考えた時に『スカートめくり』や『パンチラ』、『覗き』などそういう許されるいたずらが浮かんできてそれをイメ―ジしながらコレクションを作っていきました。なので子供時代の『罪と罰』というテーマにしました。

―罰というのはどういうことでしょうか

悪いことをしたら干されるということです。

―ストーリーでの罰ということですか

そうです。

―ではコレクションの1ピースごとが『罪と罰』ではないのですか。それともショーに『罪と罰』を演出したのですか

ショーに演出したという方が近いのかもしれないですね。罪と罰の『罪』というのを子供に訳すと許される罪=いたずらをして罰せられるという意味です。

―服自体にも罰せられるという要素は入っているのですか

というのはほとんど入っていないですね。具体的に入っているのはラストのピースだけですね。干されるという意味で。

―やはりショー自体に『罪と罰』が強いということですね

そうですね。女の子が着る服に対して、ショーによって罪を犯し罰せられるというイメージです。

―リハーサルではラストのシーンが2階で干されていたのですが、ショーではその演出が1階になっていました。それはなぜだったのですか

分かりづらいので変えましょうということで変更になりました。

―今回一番重要視した点はなんですか

普通の日常の中でwrittenafterwardsの洋服を着てもらえるところですね。

―具体的にどういう人、どういうところで着てもらえる服なんでしょうか。モデルはティーンなのにおばあちゃんメイクをしていました

子供から老婆まで着てほしいという想いからあのようなメークのアイディアが浮かびました。イメージの一つにTAVIちゃんがありまして、TAVIちゃんを見ていると老婆に見える時がありまして。

―値段設定もそのくらいの子を想定して作られたのですか

値段設定は、子供から老婆迄というイメージだったので、お婆ちゃんが着てもチープ感が出過ぎないくらいの質に仕上げました。

―そういう層を日本で探す、値段は高くても意識したのはあくまで10代前半の子たちなんですね

女の子のイメージは10代ですが、服そのものはもっと幅広く捉えました。

―ショーで老けたメークにした理由はなんですか

Tavi(13歳のファッションブロガー)ちゃんというのが今世界的に凄く注目されている。彼女は日本が凄く好きで日本の代表的なファッション文化って何かといったらロリータファッションだと思うんです。だから本家、日本発のロリータファッションを表現したいなって。Taviちゃんの服装を見ると若いんだけどおばあちゃんぽいなって思う時がよくあってそれで若いんだけどおばあちゃんという格好がイメージとして出てきた。そこから『永遠の少女性』みたいなフレーズが浮かんできたんです。だからおばあちゃんにも見えるし子供にも見える、微妙な位置を作れないかなと思ったんです。

―ではモデルが逆におばあちゃんで若いメイクということでも良かったのでしょうか

そうかも知れないですね。しかし、老婆が若い子のメークと言うのは、ある意味日常でよく見る風景ですよね。

―今回は男女を意識したんですか

今回は完全に女性です。前回、前々回は女性観というよりは人間観でした。今回は女性観を出したから、基本的には女性の服ですね。

―日本では森ガールが流行っていますがそれが「ファッションではない」とか、「ファッションのレベルが低い」と言われ世界では受けいれられません。なぜだと思いますか

森ガールは、西洋の美意識から来るものではなく、日本特有の美意識(少女性、未熟性の賛美)から来ているものだからだと思います。

―例えばキューブリックの映画でもロリータのファッションは出てきたし、大人が若い子のファッションをしたりっていうのはありますよね

海外でもロリータはあるけど大人がロリータを纏うというのが、メインカルチャーとして存在はしていません。僕はイギリスやフランスに住んでいたのですがそういうことをあまり感じる事はなかったし勿論全くなかったわけではないですがそれをメインカルチャーとして感じる事はありませんでした。日本ではそれがメインカルチャーとして存在していて未熟性をある種の美として許容している。それを纏うという部分では日本なのかなって。

―今回着てもらうという部分で少し距離があると思ったのはいたずらをしているのは男の子でいたずらをされてるのは女性ですよね。女性が着たいかとい部分ではどう考えているんですか。男の子からみていたずらをされている女性に魅力を感じるというのはあると思う、でもいたずらされている格好を女性が着たいかと言ったらどうなんでしょうか

そこにパラドックス的なものがあると思ったんです。ただ単純に綺麗にしているものじゃない、ちょっといたずらされているものにちょっとしたユーモアがあって、あくまでユーモアとしてそれを着たいと思ってくれればいいのかなと。今回はあえて男性目線を少し強調してコレクションを作れないのかなというところからスタートしてやった部分があって、昔は男性が強かったんだけどどんどん弱くなっている、そういう部分でもう一回男性目線でのコレクションをユーモアを持って作れないかなと思ったんです。

―なぜ男性目線が必要だと思ったのですか

近年、どんどん女性が強くなって来ている。ある意味男性よりも強いのでは?と感じる事も日常茶飯事です。ですので、男性デザイナーとしてのちょっとした反逆、いたずらごころです。そのちょっとした反逆ごころがユーモアとなって、現れたらと思いました。最近そうゆう男性目線もあまりないので。

―女性が着る服というのをよりよくする為に男性目線を入れたということですか

男性目線のちょっとしたスパイスが丁度良いのかなって。

―シェイプとかに女性らしさはあまり感じられなかったのですが、女性を意識したのに中性的に感じるところがありました

野暮ったさ、ガールスカウトだったり、制服だったりのユニフォームをイメージしてやったのでそこまで性というのは入っていません。ティーンネイジャーの制服等をインスピレーション源としました。

―カオスラウンジでうしじまさんが着ていたのは例えば男性の為の女性服ですよね。それとは違うんですか

それとは違いますね。男性を意識した服というよりは男性が作ったということを意識した服です。

―着た人はいたずらの部分がデザインにあるわけじゃないですか。それを男性に見てもらいたい部分としてのスパイスなんですか

男性だけではないですね。ユーモアに落とし込まれたらいいんじゃないかなってところで。セクシーとは違いますね。軽くハプニング的な。

―会場自体も『いたずら』という部分を意識して作られたんですよね

80年代のショーってカメラマンが下から構えていて写真を撮っているそれがイメージに合ったんです。今の時代は携帯で写真を撮るから携帯で写真を撮るような感じでスカートの中が見えても良いのかなというそれくらいの感覚で。

―でも2階から見るとそれが伝わらないですよね

全然伝わらないですね。(2階で見た人にも)本番に近くで見たらまた違った感想も持ってもらえたんじゃないかなっていうのもありますね。

続く

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