Interview

sina 3/4

“人柄もわかる範囲でオーダーを受けているのでその人を想像しながら刺繍すると人によって全然違う刺繍が出来たりします”

‐一番作りたい物はなんですか

アートですね。やりたいのがわかってるんです。空間全体を作りたいんですよ。変な空間作りたいんです。でも素敵な。

‐荻窪のカフェROKUJIGENでやった個展が初めての個展でした、なぜそこでやることになったのでしょう

(ROKUJIGENオーナー道前さん以下6)うちのお客さんで来ててここで刺繍していたんですよ。「何、あの鞄。何しているんだろう」と思って「何刺繍 しているの?」って聞いたら「ハムの断面図なんですよ」って言われたんです。それが凄く良かったので私から「ここでやらない?」って言ったのが始まりなんです。もともとはお店はジャズバーだったんですけどそれを改装してオープンして彼女がお店に来たのがオープンしてから間もなくだったんです。グラデーションの刺繍も良いんだけどハムの断面図がまたたまらなくいいなって思ったんです。

‐ハムを刺繍するというのがいないですよね、初の個展の反響はどうだったんですか

それでやっていこうかなって思いましたね。個展をするというのが親に言えなくて、親には「ずっと就活している」って言ってたんですけどある日突然「個展するよ」って言ったら怒られるかなって思いながら言ったら「凄いじゃない」って言われて、「あれ?いける」って。「やっていい?」って聞いたら「応援するわ」って言ってくれたのでそれで「やってみます」ってなったんですよね。

6- 凄い反響があったんですよね。お客さんも「刺繍ってお願いしたらやってくれるのかな」って言う話になったり。持っているアイテムに刺繍をしてもらって、お客さんが刺繍をしてもらっていたら気づいたら周りがみんな「有ちゃんの服着てる」みたいな感じになって。

‐販売もされたんですか

販売もしていましたね。

‐反響が嬉しくてまたはまっちゃったと

そうですね。

‐お客さんはたくさん来てくれたんですか

6-オープンしたばかりなので初めはやっぱり人が少なかったんですよね。展示をやっても来てくれる人というのは決まっていたんですけど彼女の展示は「DM見て、見たかったから来ました」という方がたくさん来てくれて「こんなの初めてだな」って思ったんですよ。それまでは作家さんの知り合いばかりだったので。ファンだった方が実はたくさんいたんだなって凄く感じましたね。先日も伊勢丹のワークショップに一緒に参加してきたんですけど参加してる人がみんなファンなんですよね。「凄いな~」と思って。ブログだけで発信しているのにこんなに影響があるんだなって。

‐刺繍はなんでも即興で作れるんですか

小さかったら出来るのかなと思います。

‐この場所(Rokujigen)でいつも作業されているんですよね

そうですね。いつもというわけではないんですけど家で作業をして息抜きにここで作業をする感じですね。

6-いつもここで刺繍をしてくれていてうちが取材を受ける時も彼女がいることが多くて雑誌とかにも彼女が写っていることが多いんですよ。

‐ここの取材で有本さんが写っているんですか

6-そうなんです。ここの取材で来てくれた方も有ちゃんが刺繍しているので「雰囲気の良い方がいるのでモデルお願いできないですか?」って。

‐ここで生まれた作品もあるんですか

ありますね。いっぱい。

6-刺繍とは違う部分をお客さんに手伝ってもらったりして工房化してる時もありますね。全くやったことが無い人はそういう作業が凄い楽しいんだと思います。

‐どんな方が有本さんの刺繍を好んでくれたんですか

6-幅広いですね。うちで一緒にやっている男性も刺繍が凄く好きでジーンズにやってもらっているし。女性だけじゃなくてお店に来る男性も「凄く良い」って言ってくれますね。ただ男性は女性と少し見てる目線が違うのかなとも思いますね。「可愛い」っていうより「アート的」に見てるというか。彼女が作っている物は女性向けのものが多いけど、男性も彼女が「刺繍良かったらしますよ」って言ってくれるのでしてもらってますね。
私が今着ているTシャツも彼女に刺繍を入れてもらったのですがもともと要らないかなって思っていた物なんです。でも刺繍を入れてもらうと全く違う洋服になるんです。それが凄く良くて。

‐この部分に何か刺繍して欲しいという提案はやる側にとってはどうなんですか

それは凄く嬉しいですね。今はオーダーしてくれた方の人柄もわかる範囲で受けているのでその人を想像しながら刺繍すると人によって全然違う刺繍が出来たりします。

‐逆に「こういう物を作ってください」と言う提案で作るのは好きですか

あまり好きではないですね。自分で反応したものをやりたいです。

‐元々は自分で欲しいから始めたんですか

自分で身につけたいからですね。

‐メンズ物を作ったりはしないのですか

大きい鞄を作ったりしていますのでそれは一応メンズです。洋服とかになるとサイズとか難しいので女性物になってしまうんですけど。

‐刺繍って凄く温かみがありますよね、手作業ですし、色使いは変えようと思って変えているんですか

そういうことはないんですけど一度使ったら飽きてしまうので次の物を作る時は全然違う色合いになったりしますね。

‐色合いは考えているんですか

全然考えないですね。何色を使おうとかも考えてないです。

‐一色ずつ縫っていくのではないんですか

刺繍糸は6本で売られているんですけどそれを3本にほぐしてやっているんです。それでその3本を1本と2本で色を変えてやったりしています。

‐自分がやったことが無いのでどれだけ難しいか全く分からないですね

ワークショップで男性がやってくれたりもしたんですけどうまかったですよ。

‐教えたら出来るものなんですかね

出来ますよ絶対。
6-やってみてあれを作るのにどれだけ手間がかかっているのかが良くわかりましたね。

続く

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