「シンプルの中にある奇抜」をコンセプトにストリートから絶大な支持を集めるブランドbanal chic bizarreデザイナー中川瞬氏に話を聞いた。
-ブランドを始めようと思ったのはなぜですか
買い物をしていてこれがこうだったらいいのにという服ばかりだったので始めたんです。僕は最初からそういうのを仕事にしたいタイプだったので。
-洋服の勉強はされていたのですか
そういった学校は全く行っていません。高校卒業後19歳から卸(取引)を始めました。高校2年生の時から地元のお店でTシャツを作って卸したりはあったんですけどその時は一人でやっていました。当時は別の名前でやっていたんですけど2人でやるようになってからは今の名前でやっています。19歳のときに市毛と知り合って一緒にブランドを始めてすぐにGYPSYというお店で取り扱いをスタートしてもらいました。
-最初そこで置いてもらいたいと思ったのはなぜですか
買い物をしていていいお店だなって、そうしたら張り紙にデザイナー募集と書いてあったのでそれを真に受けたんです。
-ブランド発足当時のコンセプトであるシンプルな中にある奇抜と言うコンセプトは変わっていませんか
それは変わっていません。次がまさにその感じのコレクションなのでファッションショーをやるには拍子抜けしてしまうのかなというコーディネートだったり服もあったりするかもしれないですね。
-2人の役割について教えてください
それは特に無いですね。ただデザインの最初は向こうからですね。最初に向こうがデザインを描いてきて始まるんですよね。それを僕が見てなんとなくどういう のがやりたいという道筋が出来てきてそこからディスカッションが始まるんです。だから最初にデザイン画をあげたままで進めていったというのは今まで無いですね。
-2人でやる利点ってありますか
一人よがりにならないことですね。やりたいことがやりたいことだからだと思うんですが。リアルである以上一人よがりだと滑ってしまう可能性もありますので誰かに格好良いって言ってもらいたいって考えると2人でやっていると客観的に見れますので良いと思います。
-基本的には自分達が着たいものということですか
そうですね。自分達が着たいものという前提はありますね。ほぼユニセックスなんですけど、ユニセックスと言うよりはメンズレディースどちらでもよいという感覚なんです。性別を設ける必要がないというか。もともと自分がサイズが無くてレディースの服を着ていたのでそれでブランドを始めたというのもあるのでだったら性別に拘る必要も無い、自分が履けて女の子が履けても良いんじゃないかって。ハイヒールは足があまり長くないけど細いパンツが履きたかったという 自分のコンプレックスから出来た物なんです。以前はレディースのブーツを履いていたんですけどあまりにもピンヒール過ぎてちょっとゲイっぽくなりすぎてしまってこれはまずいということで靴を作ろうってなりました。でも今はメンズ用のヒールブーツも大分定着してしまって古着屋さんなどでもやっていますのでもう自分達がやる必要はないのかなと思っています。だから次に向けてまた新しく足が長く見える靴を提案して試行錯誤しています。
-今年√という雑誌を創刊されましたが雑誌を作ろうと思ったきっかけは何ですか
単純にどこの雑誌も自分達のブランドのことを載せてくれなかったからです。雑誌で生計を立てるというのが難しい時代だとしたら雑誌を商材にしてしまってそれでブランドを売ってそのお金で更に商材を作っていくというのが理に適っているなと思ったんです。雑誌だけで儲けを得ようと思わないで雑誌はプレス料だと思って赤字でもブランド自体が成長出来ればと思ったんです。クオリティ的な面は最初は参加する他のブランドにも目を瞑っていただいて・・・。もともと雑誌をやるノウハウが無かったのでまず何をするといったらカメラを買うところから始まりました。
-ブランドのセレクトはどうされたんですか
他の雑誌であまりPRしていないブランドとストリートで支持されているブランド、ストリートで支持されているけどあまり得体の知られていないブランドを中心にセレクトしました。
-雑誌のコンセプトを教えてください
根底にあるという意味でのROOTと人と人とを繋ぐという意味でのROUTEを掛け合わせて記号の√にしています。この雑誌を通して新たなカルチャーが起きるくらいの物になれば良いなっていうのと、繋がりを見せることでお客さんに買う理由を与えてあげるというのが大きな理由です。ブランド側にもこの雑誌をPR資料として使ってもらいたいというのがあるので雑誌媒体や地方のお店にも配らせてもらっています。だから自分達のブランドの取引先でないところにも置 かせてもらっています。それがうちのブランドにとっても新しい取引先を探す良い影響になると思いますし、雑誌に配ることによって自分達のブランドが雑誌に載ればいいなっていう思いもありますね。
-発売は半期に一回ですか
コレクションにそってですね。最初の号はプレデビューということでちょっと微妙な時期の発売になっているんですけど1号が忘れ去られる前に2号を出したかったので、これから先は年に2回、コレクションのデリバリーの時期にそってです。あくまでエンドユーザー(消費者)が主体になっていますので。
-この雑誌で他のブランドを助けてあげたいと言う気持ちもあるのですか
それはないです。この雑誌は逆に(他のブランドに)助けてもらっているという感覚なんです。色んなブランドが載ることにより自分達のブランドのポジションが確立されるというのも一つの利点だと思うんです。参加していただいているブランドサイドからするとどう見えるかわからないところなんですけど持ちつ持たれつでうまくやっていければいいかなと思っています。
-09S/Sからショーをやっていますがショーを始めようと思った理由はなんですか
ブランドの見せ方というところで今までこだわってなかったんですけどそろそろそういう部分もちゃんとした方が良いのかなっていうところで最初はインスタレーション的な形でやってみようという考えだったんですけどランウェイにした方が良いというアドバイスをいただいたのでショー形式での発表にしました。
-他のブランドに比べてブランドの服を着た顧客さんが凄くたくさんいた気がします
それは言われますね。うちはいつまでもお客さんにとってリアルじゃなきゃいけないというか元々服作る入りがそこなので「自分たちが着たい服が欲しい。自分が街でこれ着て格好良いと思われたい。」とかそういう気持ちから服作っていたというのもあるのでだからお客さんがそれだけ来てくれるということはそれだけ気持ちが届いているということだと思います。
-顧客さんを大勢ショーに招待したのですか
全くしていないですね。うちのブログを見て情報などを探して来てくれたのだと思います。直接連絡もしていませんしDMも出していません。後で販売員に聞いたところによると来てくれた人達はみんなばらばらで地方からの人も多かったですし、友達同士じゃない人も多くて、mixiだったりウェブでのやりとりで一緒にショーに行こうとなったらしいです。
-お客さんを招待して見せてあげたいと言う気持ちはないのですか
見せてあげたいという気持ちがあるからこそあまりたくさんの人を招待したくないという想いです。どうしてもという気持ちだからこそそれだけ探すし、それだけ探してきてくれるということはそれだけうちのイメージを理解してくれている。イメージを理解してくれたお客さんが色んなところの雑誌に載ってくれたりだとか「あれが良かった」「これが良かった」って言ってくれることで更にその下のところで自分たちのブランドのことを気になってるレベルの人達にもアピールが出来る。自分達から直接下の人に言うのではなくお客さんの目線に一回落とした状態でアピールされることによってイメージが伝わる、それって凄くリアルなことだと思うんです。月末にショーをやったのでバイヤーさんは実は全然来ることが出来なかったんですがそれは承知でやらせていただきました。自分達がショーをやる理由と言うのはどちらかというと対ジャーナリストよりなところもありましたので。
続く
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