Interview

idea by SOSU 前篇


原宿という地にひっそりと居を構えるSOSUによるアポイントメント制セレクトショップidea。人や物で溢れかえる原宿という地であえてアポイント制という形態をとるidea by SOSUのマネージャー兼バイヤーである渡辺氏にインタビューという形で色々とお話をうかがった。

—idea by SOSUという名前の由来について教えてください

ideaは起源、もともとの形という意味です。

—東京、しかも原宿という地であえてアポイントメント制という形態をとる理由とはなんですか

自分は田舎出身だったのでセレクトショップというところはお店の人とコミュニケーションがとれて凄く楽しかったんですね。高校生のときにお店に行って「こういうのがあってね」とか「これがいいよ」という話をお店の人としてて、お店の人は僕と話をしているわけだから僕の好みもわかっていてお互いの情報を共有してるから「じゃーこういうのどう?」という新しい提案が出てきたり。そういうお客さんとの距離感が近いのが理想のお店の形だと思ったんですけど、東京に初めて出てきたときにお店の人とお客さんとの距離感の遠さに驚いたんですね。
自分は田舎の人口の少ない街でセレクトショップで働いていたので売り上げをちゃんと作っていくためにお客さんとの距離を縮めていったりとか逆に薦めすぎてお客さんが離れていったりということも経験して東京に来て(東京のお店の)接客を見た時に(個人的に)「売る気があるのかなー」って。悪い言い方で言うと変に格好つけているというか。まだ逆にしつこいくらいに薦められたほうが良い位って思ったんだけどそういうのも感じられかったんです。

自分が東京に出てきたときは丁度裏原ブーム全盛でお客さんがいつも並んでいて欲しいのは決まっていて、自動販売機でも出来るようなことをわざわざショップでやってるからなんだこれはと思って、丁度雑誌もカタログ化されてきていてみんな欲しいものがなんとなく雑誌で見つけられて「じゃーあそこいこっか」みたいになって欲しいものがあってサイズだけ合わせてもらって買いましたってなったらそのお店にいってなにか買ったという想い出も何も無いというか。

自分は黒いなんとかを探しに着たんだけどお店の人が「こんなのどう、こういうの試してみたら絶対似合うと思う」みたいなことを言われて初めて自分が思っていたものと違うものが似合うっていう風に思わされたことがあるお店とかって結構自分は尊敬したり、崇拝したりするんですけどそういうやり取りをお客さんと 出来るのが本来あるべきセレクトショップの形だと思ったんです。

三原のお店で自分は店長をやっていたんですけどだんだん三原が人気が出てきてお店が凄く込むようになってきて一人一人接客が出来なくなって(お店がただ)回転する形になってしまって結局自分がやりたいことと間逆をいってるからちゃんとお客さんとの関係を築いていける田舎みたいなお店を東京でやろうっていうのがもともとの形で、それにプラスしてアポイント制というのは混みすぎては同じ現象になってしまうので来店されたお客さんにはある程度の時間を持ってゆっくりリラックスした状態で物を見てもらってフィッティング待ちとかいろんなストレスをある程度排除できるよう時間をとってゆっくり服を見てもらおうというのでアポイント制になっています。

—でも逆にアポイントメント制にすることによりお客さんが来づらいというのはありますよね

それは悪い点ですね。でも逆に言えばそこは考え方次第だけど一番最初からそこはある程度想像していたわけで「お客さんなんか来ないんじゃないか」とか思っていたし、周りの人からも「それ、お客さん来ないよ」とか言われたけど、でも新しい形だしむしろそれがうまくいけば格好いいなと思った部分はありますね。

—どんどん顧客さんが増えて逆にアポイントがとりづらいみたいなことになったりはしないんですか

それは多分無いですね。そうなってくれたら逆に嬉しいけど今の所そういう心配はないです。むしろ今はもっと人が来ても大丈夫ですね。昔は1人だったけど今はスタッフも3人いるので。

—場所はあえて(人の多い所から)少し離れた場所にしたんですか

最初の理由としてはもともとこの場所にSOSUのプレスルームがあったということと、あとから場所を移そうとしたらもともとあったセレクトショップとブランドがバッティング(いわゆるブランドが被るということ)という問題が発生してきてそういうのはブランド的にも良くない、このくらい他のお店と距離があればどのブランドもバッティングだとか気にせずOKしてくれるという利点はありますね。

—SOSUって三原康裕って言うイメージがあるじゃないですか、だからidea=Miharaのイメージで来るお客さんも多いんじゃないかと思うんですが

そういうイメージはありますね。でもそのおかげでお客さんが増えたりっていうのもあります。

—実際はMihara Yasuhiroのお店とはあまり商品が被らないようにしているんですよね

そうですね。逆に三原の方で凄く売れそうなものなどはあえて省いたりもしますね。MIharaYasuhiroの会社だからってあまり差別はしたくないというか(セレクトショップの)一つのブランドとして入れているという感じですね。そうしないとMiharaのお店になってしまうので。

—このお店に来られるカスタマーの年齢層を教えてください

下は大体20歳くらいから上は50代位までの男性と女性です

—このお店のバイイングコンセプトについて教えてください

最初の考えとしてははビンテージになり得るもの。20年後にクローゼットにあっても普通に見れるもの。例えばこれ何年のサンローランだとかクローゼット にあっても古臭くなくて、ファッションは10年一回りとか言ってリバイバルされたりするから何年後かにみてまだ格好いいと思えるようなアイテムといったコンセプトですね。

—流行じゃなく時代を超越したということですね

そうですね。オリジナリティーがあるものというか。変な話タグをとっても何のブランドかわかるもの。例えばMiharaYasuhiroだったりMartin Margielaだったり、そういうのってデザイナーとして成功だと思うんですよね。

—でも逆も考えられますよね、あえてデザインをなくしたデザインを売りとするブランドというか

タグをとって違うブランドのタグをつけたら違うブランドに見えるということはデザインという面からしては残念ながらそのブランドにとってオリジナリティー は宿っていないということに成ると思うんですよね。「なになにぽい」とかなんとなくそのものから見えてくるものを(バイヤーとして)いれたいと思っています。

—メンズレディースともにということですよね

そうですね。オリジナリティーという意味では。
ただメンズはビンテージになり得るものってことだけを考えると微妙でメンズってお洒落すぎる人は気持ち悪くなってしまったりもするしメンズはいい感じって思われるお客さんが増えたほうがお店としては成功じゃないですか。「あの人めちゃくちゃお洒落だけど街中にいたら絶対浮いてるよね」っていう人とか、そこに通ってるお客さんがちょっと笑われたりしたら悲しいし、メンズに関しては「なんかあそこいってる人ちょっといいよね」って言われるようなセレクトを目指してます。その中でもオリジナリティーだったりパワーがあるものだったりは挟み込んで行きたいとは思っています。

—(バイイングをする上で)流行とかトレンドって意識したりします

意識しすぎると駄目になるんで・・・・。自分が流行とかそういったものを先読み出来るのであればそうしたいけど結果的に出来てないのであえて意識はしていないですし、基本的に自分が好きじゃないと人に何で好きとかも伝えられないし。あとで他のお店のバイヤーさんたちが次はこれが来るみたいなことを雑誌とかで見たりすると「あーそうなんだ」って思ったりしますね。

—メンズは自分が着たい物をセレクトしてるという感じですか

全部自分で着れるものと言うわけではないけどなんとなくお客さん像(こういうお客さんにはこういうものとか)を描いてセレクトしたりはしますね。完全にお客さんの顔を思い浮かべるとその人だけの為になっちゃうからこういう雰囲気の人にはこういうものだとかそういった感じでですね。例えば普段Krisとか着ている人にはこういう服がとかそういうのは考えますね。ただNYが(トレンドとして)きてるからNYに飛びついたりだとか次はGivenchyが来てるからGivenchyだみたいなのはないですね。そのもの自体を好きじゃないとバイヤーもして接客もしてるので薦めづらいって言うのもありますし。

—(Kris, Rick Owensなど)ブランド的には他の原宿のお店で置いてあるものも多いじゃないですか,同じブランドの中でセレクトが被らないように最初から他のお店と違うものを選ぼうというのはあるんですか

そういったことより最初は自分の好きなものを値段見ないで選んで、でもそうやって選ぶとやっぱり高いものも出てくるわけでじゃー同じ型の安い生地でとなると結局1つか2つに絞られるんだけどそれを選ぶと結局他のお店もそうやって入れてるんだろうなって。だからそれ(安い生地のもの)と最初に自分が選んだものを比べて凄い格好良いから誰か買ってくれるだろうと思ったら少し高くても買うし、それでもやっぱり買えなかったら他のところで違うものを選んだりするように心がけていますね。

—お客さんの数では(原宿の)他のお店には敵わないじゃないですか。売り上げも違うから商品もたくさんはとれないじゃないですか。ブランドが少ないなら別だとは思うんですがそういうこともないしそこで差別化をするのって難しいんじゃないかなと思うんですが

難しいねー・・・。まず最初はブランドで差別化したいっていうのを思ってて他のお店で扱っていないブランドを探すのに躍起になってたりもしたんだけど(こんな情報化社会だから)自分達が最初にそこにたどり着いたとしても結局期間中に他の(日本の)バイヤーさんたちが来てあそこのお店が来たとか違うお店が来たとかなってしまってブランドを扱うのは見つけた順ではないし結局日本は早いからみんないれてしまうしブランドで差別化は出来ないなって。だからアイテムで差別化をしようって。でもそこもそんなに考えてたわけじゃなくて(アポイント制というお店だし)必然的にこういうのあったほうがいいなとか思っていたら違うものになったって気がします。

—(ファッションという面においては)恐らく世界で一番物が溢れる場所だからこそ差別化って相当難しいですよね。

難しい・・・。バイイングしているときに気にしたりしすぎるとあんまり良くないんで・・・・

—結果違うってことですか

そうですね。結果として差別化が図れていればという感じですね。

—メンズと違いレディースのバイイングの時は一人じゃないじゃないですか。何か違うことってあるんですか

やっぱり2人いるということで全然見方が違ってきますね。女の人は現実的な部分もいっぱいあるだろうし。でも商品に力があるようなものも入れたいから便利だねってだけではいれられないし商品力があるほうがここに来てくれるお客さんは喜ぶだろうし。

続く

コメントは停止中です。