Fashion Show

Christophe Lemaire

西洋、東洋それぞれの伝統的なワードローブを洗練された形で融合し、エッセンシャルな時代の空気に呼応する、コンテンポラリーなウェアを毎シーズン提案しているクリストフルメールが7月6日パリオートクチュール期間中に久々のランウェイを披露した。

CHRISTOPHE LEMAIRE が唱えるコレクションの定義はスタイリングを“単語”に例えるのなら個々のアイテムが“アルファベット”としてそれぞれ意味を持ち、その役割を果たす。規制の単語を推しつけるのではなく、着る側がそれぞれのオケージョンに応じて自由にアルファベットを組み合わせオリジナルな単語を創造する。
ニュートラルな個々のアイテムこそがワードローブを構成するうえで最も重要な要素であること。
そこでデザイナーが提案するのがミニマルで着心地が良く、ハッキリとしたラインのシルエットのアイテムだ。
そうした個々のアイテムは着る人の動きを制限せず、声高に主張しすぎないクラシックなものであり集合体としての個性を際立たせてくれる。ミニマルなピースを組み合わせることにより静けさの中に力強く選び手の個性を投影させるデザインこそが現代におけるコレクションの意義と説いている。
簡潔な構造で洗練された各アイテムは西洋と東洋の様々な伝統を踏襲し、モダナイズされている。

例えばインドの男性用衣装クルタは従来使われないパッドを用いコートの様に仕立て、柔軟な素材のジャケットにボリュームのあるチャイニーズスリーブを配することによりシャツの様に軽くカジュアルに仕立てた。

今回のメインマテリアルであるコットンとシルクを織った生地はジャケット、ゆったりとしたパンツ、カフタン(エジプトの伝統的な長衣)などに用いられた。ミルキーシェード、オーカー、モスグリーン等のニュートラルな色に加えインディアンピンクが差し込まれたカラーパレットは1920 年代にフランスで活躍したレオナルド・フジタ氏のアートワークからインスパイアされたもの。

鮮やかでミニマルな個々のアイテムは多様な組み合わせと選択肢を選び手に与える。
ミック・カーンのベース音の深い響き、中国の伝統的なメロディーのような異色の音をミックスしたかのようなCHRISTOPHE LEMAIRE のコレクションは空想的な感性と絶妙なバランス感覚が混在している。今回のコレクションではありとあらゆる要素を吸収し、消化して独自のものとした日本の音楽のように、予想もしない未知なるハーモニーを奏でる可能性を約束している。

ここ数年ランウェイを行わず展示会ベースでメンズ、ユニセックスを中心に新作を発表していたルメールだが数年振りにランウェイを行った今シーズンは本格的にウィメンズウェアを再開した。なおクリストフルメールは2011-2012 A/WシーズンからHermesのアーティスティックディレクターに就任する。

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