2011年からスタートした秋葉舞子さんとの共作「100年の壁」シリーズが生産終了する事になりました。
最終のオーダー〆切りは2013年2月末を予定しております。
来年の2月末までにお受けしたオーダー品を納品しだい、完全にシリーズ終了と相成ります。
ですので、100年の壁をご所望の方は2013年2月末までにオーダーして頂けると幸いです。
さて、事務的な話しはここまで。
100年の壁はカガリユウスケという作家にとって、とても重要で思い入れの強い作品群です。
それが終了するという事で、少し感傷的な気分になっております。
2010年に秋葉さんへ送った手紙(メールですが)から始まったシリーズなので、終わりにも手紙が必要だろうという事で、100年の壁への手紙を書きました。
よかったら、覗いてみて下さい。
以下、100年の手紙。
「作家活動を一旦休止しようと思っています」
秋葉さんからその旨の連絡を頂いたのは確か9月の終わり頃。
不思議なぐらいに自分が驚かなかったのを覚えています。ぼくは何か自分にとって大事な事が起きたとき、その起きた事と自分との関わりが深ければ深いほど、驚いたりするより前に「この事態をどうするのが自分にとって、相手にとって1番面白くする事が出来るか?」を考えてしまいます。
その時ぼくが思ったのはこの二つです。
1、どのような事情にせよ、秋葉さんの決めた事を、気持ちを最優先としよう。
2、そうだ、(秋葉さんに)弟子入りしよう。
秋葉さんからのメールを開いて上の二つが頭に浮かぶまでの時間はおよそ5秒。
「1」はまぁ人として当たり前の事として、「2」の意味が自分でもその時は良くわかりませんでした。
作家活動を休止すると言っている人に弟子入りって、、、ねぇ。
でもま、意味は分からずともこういう時の直感が外れた事は無いので、そのままメールを返信しました。
「了解しました。その代わり、弟子にしてくれ。技術を教えたりはしなくてもいい。概念としての弟子にして下さい」って。
そこから数ヶ月たったいま、その時の直感の意味が分かって来ました。
ボクは秋葉舞子さんを作家としてとても尊敬しており、彼女の作品から自分は深く影響を受け続けいます。
自分の作るものに対してここまで深く、そして直接的に影響を受けたのは父親以外では彼女が初めてで、このような事は今後そうは無いような気がしています。
その大事な影響を、感情を、目に見える形として残しておきたかったのだ、と。
その為の弟子入り、という事だったみたいです。
「弟子」という形はその人からの影響を言葉に変えたようなものだものね。
というわけで、人生初の弟子入りをしちゃいました。
手紙の本線とは外れますが、100年の壁とはまた違う形の、自分なりのエイジングをいま少しずつ模索中です。
皆様に発表できるまでに何年かかるか分かりませんが、秋葉さんからうけた影響は必ず形に仕上げるつもりです。
もちろん、100年の壁とはまた違う形としてね。
こちらは、まぁ話半分ぐらいの感じでお楽しみにしていて頂ければと。
さてさて。
実はボクと秋葉さんを引き合わしてくれた人物がおりまして。その人物、methodの山田さんには感謝してもしきれないです。
現代美術館のエントランスで(確かmethod主催でデザインバザーをやっていてそれにボクも出店していた時ですね)山田さんが「最近きになっているアーティストがいるんだよぉ」と言って手に持っていたノートPCをパチパチっと弾いて秋葉さんのHPを見せてくれなかったら、100年の壁はこの世に生まれなかったわけですから。
ある意味では100年の壁のおじいちゃんみたいなもんです。本当にその節はありがとうございます。
また今度みなさんとボーリングに行きたいです。手紙の主筋とは全然関係ないですが、皆さんと山田さんの誕生日会でボーリングをした3日後ぐらいにまたボーリングに行った際に人生最高のスコア198を叩き出しました。
嬉しくもあるのですが、どうやっても200の大台に乗れない自分に腹がたちます。
最後に秋葉舞子さん。
100年の壁の共同作業を通じて素敵な経験を沢山頂きました。秋葉さんとのこの二年間のやりとりはめちゃくちゃ楽しかったです。
お世辞抜きで尊敬しておりますよ。
またいつの日にか作家活動を始められる日を心待ちにしております。
そして、その時はまた一緒にものづくりで遊びましょうね。
本当に、二年間ありがとう。
2012年 明松佑介