今日勝ちどきの倉庫をリノベーションした場所で東京R不動産の出版記念パーティがあった。
http://www.realtokyoestate.co.jp/column/book2_event/
このイベントに物販として参加していて、倉庫のディティールをただ見ている時にふと感じた事。
思い出した事。
忘れてしまわないうちに書いておこうと思う。
ボクは大友克洋氏の「AKIRA」から多大な影響を受けている。
AKIRAを初めて見たのは6、7歳の頃。
物置き代わ りに使っていた古い応接間で見つけたそれは本当に凄かった。
意味なんて全く分からなかった。あらすじなんて一つも追えなかった。
幼 いボクにとってそれは異次元で行われる魔法使い達の寓話みたいでありながら、細い直線でみっちりと描き込まれた風景はやけにリアルで、その何とも言えない 変な感じは意味なんて分からずとも読み続けるだけの圧倒的な魅力に満ちていた。
それはコンクリートの迷宮に住む魔法使いの王様とそれに挑む 人たちの物語り。
戦いが進むにつれてコンクリートの迷宮は崩れ、浮かびながら落ちて行く。
音はない。
全ての風 景は静止しながら静かに崩れて行く。その中で人間だけが動き回っている。滑稽に。
動かないのは一人だけ。魔法使いの王様だけ。
いま思い出すとその王様は物語りのなかの少年アキラを指していたみたい。多分、4巻の表紙からの連想なんだと思うけど。
当時のボクがAKIRA から勝手に作ったストーリーはそんな感じだった。
また、ボクの実家の庭には廃工場があった。
ボクはそこで小学生から 中学生の9年間のほとんどを遊んで過ごした。
地面のクラック。蛍光灯。クレーン。積み上げられたコンテナ。夜の海みたいに重く光る重油のプール。
段ボールの秘密基地。ほこりまみれの大量のリネンの袋。
台風の日が一番すごかった。
天井のト タン部分に空いた穴(ボクたちがエアガンで空けた)から落ちる水滴が連なり流れ蛇口から流れる水ぐらい激しくそれが幾束も落ちて来てコンクリートを黒く染 めて行く。
風の音。風が起こす何だか分からない色んな音。
窓は青く、けど灰色。
四角いディスプレイのようにぼ んやりと明るい。
ふと沈んで行く船の中はこんなのだろうかと思ったりした。
いまボクはあの工場にどこか似ている築50年の古い倉庫を改装してアトリエ兼ギャラリーにしている。
いまボクはコンクリートみたいな質感の作品を作っている。
いまボクはあの日みた風景に近い写真を趣味で撮っている。
稚拙な写真だと思う。
写真の技術はもちろんの事、イメージの作り込みが甘く、人に伝えようとする虚構のプロとしての仕事を全くしていない。
だからだと思うけど、この写真だけを見て感動したという人は一人もいない。
よく暗い写真だと言われる。
けど全く違う。
この写真はボクが工場でにゃはは〜とあほうみたいに遊びほうけた日々の記憶と直接つながっている。
だからぼくにとってこの写真は青春の写真。
とてもハッピーでどこか切ない写真にしか見えない。
自分にとって本当に大事な事はクリエイティブのテーマとはなり得ない。
でも自分にとって本当に大事な事は、自分が一番好きなものを作る事に欠かせない。
こまったもんだ。
これだから虚構ってやつは素直な言葉で語れないんだ。
すごく写真いいなと感じますよー。ほんとに!
言葉もいいですな◎
ふふ、ありがとうございます!