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AKIRA NAKA

AKIRA NAKA

アメリカ在住時にテイラーに出会いデザインを始める。アントワープ王立芸術学院在学中にイェール国際モードフェスティバルに参加。その後アントワープにおいてニットデザイナーに師事。21_21DESIGN SIGHT, ROCKET GALLERY等でプレゼンテーションを行う。08年JFWにおいてコレクションを行う。
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Antwerpの思想

最近、自分の考え方や物事の捉え方そしてブランドの
進め方までいたる所にAntwerpの思想が根付いている
事を感じて驚いている。
そう考えるとやはりAntwerpの教育がどれだけ影響力が
あるのかを強く感じずにはいられない。

自分が教育に携わる者として常にAcademyはベースとして
ファンデーションとして存在している。
自分としては1年でマダム・ノーレンから自分と向き合う事に
ついて、そしてチャレンジする事について学び、
2年にパトリック・ドムンクから洋服の概念とデザインの結びつき
そしてコレクションの構成と表現を学び、
3年でウォルターからはデザイナーとしての姿勢を学んだ。

それぞれの教員が全く違う視点を持っていたし、教える内容さえ違っていた
気がする。それでもそのベースにあるクリエーションに対する
姿勢はとても純粋で高度な位置でコンセンサスが存在していた
ことは経験者として断言することが出来る。

最近のアカデミーから突出したDesignerが出たとは聞いていないし
話題に上がる事も少なくなったが、今こそ本当に必要な教育が
存在しているのはアカデミーではないだろうか?

Designerとしての成功が有名になる事や売り上げ、または大手企業や
有名エディターとの関係性やコラボレーション等によって計られる事が
多くなった昨今、どれだけの人がクリエーションの本質に目を向けているだろうか?
またその本質やベース、情熱を感じているだろうか?
今色々な記事を読んでもその内容すら見つける事が難しくなっているが、
だれもがファッションを志したきっかけは、もっとシンプルでもっと
本能的なクリエーションによる刺激だったのではないかと思う。

そんな中にあってウォルターが言った言葉は今でも自分の指針として
錨として常にブランドの方向性に光をさしてくれている。

”パリ、ミラノ、ロンドンにおけるモードの観点はファッションショー、
マーケティング、ブランド、トップモデル、誰が何を買ったかなどだ。
しかしアントワープでは全く異なる。
我々が重要だと思っているのは、モードにおける情熱、感動、魅惑、
革新性、本物である事、コミュニケーション、アイデンティティーなどだ。”
Walter van Beirendonck

人によってまた時代によって色々な価値観が存在する事は良い事だと思う。
ただ今は多すぎるメディアが発する言葉の圧力が人の価値観の
多様性を逆に少なくしている気がする。
アカデミーで繰り返し学んだ事。自分を信じる事。
それが今どんな時代よりも求められている気がする。

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