Interview

ANREALAGE

プレゼンテーション形式にて09A/Wコレクション「凹凸」を発表したANREALAGE。毎回凝った演出や新しいアイデアで話題となる同ブランドのデザイナーである森永邦彦さんに今コレクションのコンセプトをはじめ色々と聞いてきた。

—まず今回の「凹凸(おうとつ)」というコレクションですが何かに影響を受けてアイデアが出てきたものですか

洋服作りにおいて誰もいじったことが無い服を作りたいというのがあったので縦の長さや横の変形した服と言うのはありふれていてもう色々過去のデザイナーさんがやられていたので、例えばTシャツならTシャツの形で前から見た形を崩さないままに面白いことが出来ないかというので厚みや奥行きという概念をいじりデザインして服を作ろうというところから始まりました。だから特に何かに影響を受けてという訳ではないんですね。

—ではどこからそういったアイデアが浮かんできたのでしょうか

前回○△□(まるさんかくしかく)という立体のコレクションを発表したんですけど、そのときにデザイン画が非常に書き辛かったんですね。デザイン画自体を 様々な方向から書かなきゃいけないコレクションだったのでそこで気づいたことが一つあったんです。洋服のデザイン画というのは普通前と後ろしか描かない、その2つから立体ををつくるという作業をしているのでそれはもう厚みを無視しているというか・・でも本来やっぱり厚みは絶対あるはずなのでもし前と後ろの見えない部分で奥行きがあると想像したら面白いのではないかというのがコレクションのきっかけですね。全ての立体は三面図で描かれているのでなぜ洋服は前と後ろしか描かれていないのだろうかという疑問から始まりました。

—パターンというのはどうなっているのですか

パターンは「ここから奥行きの部分です」とかそういうのですね。「前に飛び出てくるパーツの部分です」とか。パターン自体は平面になるんですけどそれがどう立体になるのかというのも一つ一つ工場長に説明しないとわからないので「ここからこっちに出てこっちに出て」みたいな。「左とか右ではなくて手前側に出して奥側に戻して」とかそういう指示になっていますね。

—最初にコンセプトを考えてデザインをしたということですよね

今回はそうですね。前回に関してもそうです。

—毎回同じというわけではないのですか

最初に物が出てくることもありますね。今回はコンセプトがあってそこからだんだん、例えば正面から見たプリントに奥行きがあってそこが伸びてきたら面白いのではないかとかそういうアイデアが出てきたので。今回はコンセプトありきのコレクションですね。

—試行錯誤というのは何回もしたのですか

かなりしましたね。一番面白いところは前から見ると成り立っているものが少し角度がずれるだけでいとも簡単に壊れてしまうというか、形自体文字も読めなくなり伸びてしまって、そういう危うい感じをどうだすかみたいな。ちょっとずれてすぐ壊れるものを作りたかったんですね。

—デザインをする上でメンズとレディースは同等の位置にあるのですか

ありますね。

—全く一緒ということですか

そうですね。メンズ、レディースを全く意識しないところでのもっと洋服の構造的なところで作っているんですけど。メンズのボディー、レディースのボディーどちらからか普通は作っていくんですけどまずボディ自体の概念がないところから作り始めるので・・・

—デザインをする上で毎回同じプロセスを経ているのですか

そういうわけではないですね。毎回そのときによって違いますね。以前はクラフトをやっていたシーズンが続いていたのでそれは全く全然別のプロセスで作っていますね。

デザインをする上で一番重要な部分とはなんですか

それも回によって違うのですが今期に関して言えば想像力ですね。奥行きという人が見えていない部分を作っていくわけなので色々なことを想像しないと形自体が見えてこないといいますか・・・

今回またプレゼンテーションという形だったのですが今後またショー形式での披露という予定はありますか

考えていますね。ショーにはショーの良さが確実にありますので。

—デザインをする上で顧客像というのは描いたりしますか

描きますね。別にお客さんのことを考えないでデザインするというのが格好良いとは思うんですけどやっぱり僕は考えますね。具体的にというよりもやっぱり今は自分のお客さんが新しく面白いものというのが好きなのでそういった程度の描き方というか特定の個人を描いているわけではないのですが。

—毎回何か新しいことをしようというのはありますか

それは確実にありますね。

—お客さんが見て面白いという意味でですか

そうですね。僕が服作りを始めた時は90年代中盤、後半くらいで本当面白い服がたくさんあってあの頃の凄くわくわくしたショーのように自分も表現出来たらと思いますね

—例えばそれはどんなブランドだったのでしょうか

僕はやっぱりUndercover, Martin Margielaの凄く構築的であり服を超えてしまうような服ですね、Comme des Garconsもそうですけど。

—今後海外で勝負したいという気持ちはありますか

そこはやっぱりデザイナーとしてありますね。

—毎回(プレゼンテーションの)時期が他のブランドと少しずれている(遅れている)と思うんですがそこには何か理由があるのですか

特に理由はないんです。出来ればあわせたいといつも思っているんですけど・・・

—JFWのスケジュールに入るということは考えていないんですか

そういったことは特に考えてはいないんですけど(その時期に)ぶつけてやりたいというのはありますね。やっぱりより多くの人に自分の作品を見てもらいたいので。

次回のコレクションのテーマとかはもう既に頭の中にありますか

まだ全然ですね。(展示会が終わる)明後日からという感じです。
HP – http://www.anrealage.com/


(Interview,Text/Masaki Takida, Photography/Takahito Sasaki)

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