今回のコレクションのインスピレーションはアルペンスポーツ。雪山での興奮を、自身の東欧からのルーツとアドレッセンス的ナイーブさを加えた独自のミニマリズムで表現した。
モノクロにバーガンディやネイビーなどダークトーンの差し色を加えたパレットで展開されたコレクションは、ヘアバンドにスカーフ、ナイロンやジップアップのトップスといったスポーティな要素を踏まえながらも、随所にクラシカルなスタイルの再解釈が見受けられる。ウールのジャケットやコートは、ボリュームのあるスリーブが緩やかな曲線を描き、そのスリーブからバックへと走る直線的なグラフィックがシルエットを研ぎ澄ます。
スキーウェア柄のレトロさと、ピンクとブルーが織られたチェックから感じさせるユース感が、スポーティを加味した現代的なミニマルエレガンスと不思議に溶け合いながら、徐々にコレクションはブラックのよりエレガントなルックへと続いていく。
前回までの多様な文化的レファレンスによるノマド的なスタイルから、敬虔なムードはそのままに、現代のコスモポリタンなラグジュリーウェアへと進化を遂げた。
Photo:Kotaro Asano Text:Yasuyuki Asano