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contemporary creation+

contemporary creation+という東京・吉祥寺にある、ファッションとアートの境界線を辿る、
博物館のような美術館のような小さなショップをやっています。

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tel+fax 0422-20-8101
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クリエイターインタビュー第三回 Miho Tanaka(May&June)インタビュー1/3

クリエイターインタビュー第三回 Miho Tanaka(May&June)インタビュー第一部

あけましておめでとうございます。

本年度もよろしくお願いいたします。

今回は、新春特別企画といたしまして、クリエイターインタビュー第三回
オートクチュール・ウェディングドレス『May&June』のデザイナーであるMiho Tanakaのインタビューを掲載いたします。

ARTやFASHIONの文脈からデザイナーを志すまで、そしてアパレルデザインの現実的な問題を経験し、自らのブランドを始める経緯が語られます。

本日は、第一部です。

率直に言って、とても面白いインタビューでした。

是非、お読みいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。

Miho Tanakaインタビュー

神楽坂の『PAUL』にて

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こんにちは。本日はよろしくお願いいたします。

Miho Tanaka
こちらこそ、よろしくお願いいたします。

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まず、生い立ちから伺うことになっているのですが、お父さんは、たしか住宅設計で、お母さんは美術教師でしたよね。

Miho Tanaka
そうです。

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お母さんは、どういう美術を教えていたのですか?

Miho Tanaka
それは聞いた事が無いのですが、私も小学生から美術教室に通っていまいした。

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当時、どのような絵を描いていましたか?

Miho Tanaka
ちょっと、こう暗い色彩で抽象画のような絵を描いていた記憶があります。

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小学生で抽象画というのも、大変珍しいですね。

Miho Tanaka
この絵なのですが、たしかキュビズムの授業のあとに描いたものなので、
正確に言うと抽象画ではないかもしれません。

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キュビズムは、そこにある現実を違った角度から再構成していく技法なので、正確に言うと、抽象ではなく具象の一形態だと思います。

Miho Tanaka
もう忘れてしまったけれど、そうかもしれません。
絵画の歴史の流れと主な画家についても軽くですがレクチャーがあり勉強になりました。

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絵は好きだったのですか?

Miho Tanaka
はい、自宅にある母の『世界美術全集』や『世界素描体系』をよく見ていたこともあり、とても身近で自然なことでした。

ダリやマグリットなど、そういったシュールレアリスムの画家に強く惹かれていました。
あとビアズレーとか、世紀末特有の退廃的な美しさに憧れていたのだと思います。
丁度同じく世紀末でしたし。

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ファッションに興味を持ったのはいつくらいですか?

Miho Tanaka
中学生くらいです。当時、装苑を読んだり(民放でも)やっていた『ファッション通信』が好きだったのです。
アレキサンダーマックイーンやジョンガリアーノが特に好きでした。

アレキサンダーマックイーンやジョンガリアーノといっても、服そのものというか、コレクションの演出含め、世紀末美術、シュールレアリズム(超現実)を現実化したような世界観に惹かれていました。

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マックイーンが『アンファン・テリブル』(最強の悪ガキ)と呼ばれていたころですね。

Miho Tanaka
そういうのを好きで見ているうちに、こういう世界で仕事をしたいと漠然と思っていたのですが、ある時、母が「ファッションを習える学校があるわよ」と教えてくれたのです。

それで、その高校に進学しました。
越谷総合技術高校の服飾デザイン科というところです。
他には食物調理科や電子機械科などもあり、全校マニアックの集まりでした。

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高校生からファッションを勉強していたとは、随分レアケースですね。

Miho Tanaka
高校のファッション科ということで、皆、一風変わった感じで、フランス人形が好きな子やプロ顔負けのマンガを書く子やゴルチエ信仰者など、いろいろ居て面白かったです。

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クラスに男の子とか居ましたか?

Miho Tanaka
2人だけ居ました。あとは全部女子です。

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学校では、どういうことを習ったのですか?

Miho Tanaka
サロンを持ち、オートクチュールで活躍されている平松先生という社会人講師の方から
オートクチュールの基礎について学びました。
基礎の縫製技術もそうですが、特に言われたのは、マナーやドレスコードに関してでした。
「雨の日に相応しいエレガントなコートとはどういうものか考えなさい。」など、
そういう課題が与えられてデザインを起こしてゆくのです。

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現在の仕事に直結しているような気がしますね。

Miho Tanaka
今思うと、そうなのかもしれません。
来春から、また平松先生のサロンに通って、オートクチュールの応用力をもっと身につけたいと思っています。

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他には、どんな感じだったのですか?

Miho Tanaka
ジョン・バートレットのショーや ハナエ・モリのショーなどに連れて行ってもらいました。
埼玉の田んぼに囲まれた本当に何も無い田舎の高校から制服を着て、ぞろぞろと青山とか
のコレクション会場に行くのです。

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それは、スゴイ高校時代ですね!

卒業ショーは、どういうコレクションをやったのですか?

Miho Tanaka
角度によってシルエットが変わる服とか、浮遊感のあるスカートなど、アバンギャルドと呼ばれるような服を作りました。

実は、卒業ショーで、三宅一生さんにコメントいただいたのです。「楽しい服を作るね、良いね」って

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それは凄いですね。というか、高校の卒業ショーに三宅一生さんが来るなんて、凄くないですか?

Miho Tanaka
世界を巡回したイッセイミヤケ展の展覧会オープニングの衣装を作ったのです。
チアリーディングの衣装です。

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たしか、高校はチアリーディング部でしたよね。
チアリーディングをやったのですか?

Miho Tanaka
いいえ、チアリーディングはやらなかったのですが、衣装を作ったのです。
一生さんが、「元気の出る感じが欲しい」とおっしゃって、「展覧会オープニングにチアリーディングをやるから、そのチームが着る衣装を元気がある若い人達にデザインしてもらいたい。」となって、コンペをやったのです。

それに参加しました。

そうしたら、デザインが受かってしまって、イッセイさんのオフィスに通ってアトリエの方々とやりとりしながら、チアリーディングの衣装を制作していきました。

その過程はNHKでドキュメンタリー番組として放送されました。

学校の先生にパターンを教わりながらトワルを組んで仮縫いをしました。

そして、その仮縫い段階では、一生さんから、「夢があって一番良いね。」と褒めていただいたのですが、それを生産する段階になると、制作を統括されている方から、この仕様のまま生産すると、とてつもなくコストと時間がかかるから無理とダメ出しされました。チアのチームが30人ほどが着るので、手の込んだ一点ものではダメなのですね。
仕方なく、量産用に妥協して作ったのですが、トワルの段階ほど仕上がりが良くなくって、結局採用されませんでした。

でも、とても貴重な体験でしたし、色々学べて本当に良かったと思います。
思えば、高校生の時に、こういう世界で仕事に触れることが出来たのは、本当に貴重な体験でした。

オープニングパーティーにも呼ばれて行ったのです。
建築家の安藤忠雄さんや写真家のアラーキーさんやモデルの山口小夜子さんなんかも居て、私達だけ高校の制服着てるので、皆不思議に思ったのか、話しかけてくれて、本当に楽しかったことを憶えています。

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それは、本当に貴重な体験をしましたね。

Miho Tanaka
それで、その一生さんの展覧会オープニングの時に、文化服装学院のチームの衣装の完成度が素晴らしかったので、文化に進学しようと決めました。

第二回につづきます。

デザイナーズ・ウェディングドレスの May&June

詳しくは
http://mayjune.jp/

お問い合わせはこちらをクリック

お問い合わせtel:0422-20-8101

365wedding
特別な場所での役に立つウェディング情報
http://blog.goo.ne.jp/mayandjune/

クリエイターインタビュー第三回 Miho Tanaka(May&June)インタビュー1/3

クリエイターインタビュー第三回 Miho Tanaka(May&June)インタビュー2/3

クリエイターインタビュー第三回 Miho Tanaka(May&June)インタビュー3/3

クリエイター・インタビュー第一回 DAN TOMIMATSU 富松暖
http://changefashion.net/blog/ccplus/2011/12/23231910.html

DAN TOMIMATSU インタビュー 第二部 イタリア編
http://changefashion.net/blog/ccplus/2011/12/25152709.html

DAN TOMIMATSU インタビュー 第三部 帰国編
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クリエイターインタビュー第二回 TAKIZAWA NARUMI その1
http://changefashion.net/blog/ccplus/2012/03/31151012.html

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