Interview

さとうかよ ~たいせつなものは目に見えない~ 3/3

みんなそれぞれ大切なものってあるけど「たいせつなものは目に見えない」ですよね?無いと困るけどそれってお金じゃないと思うんです。そこに気がついたんです

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―アートフェア―東京2012での「たいせつなものは、目に見えない。」というタイトルにはどんなメッセージがこめられていたんですか

みんなそれぞれ大切なものってあるけど「たいせつなものは目に見えない」ですよね?無いと困るけどそれってお金じゃないと思うんです。そこに気がついたんです。
作品を作れなくなっても作れなくならなかった、結局作ることでしか心が安定しなかったからかもしれません。私が瞑想する時、気持ちを安定させることって作ることでしかなかった、いくらお金を稼いでも心は安定しないから。大切なことってもっと意識の中のことだと思うんです。

―あのガスマスクって自分の顔の形だそうですね

放射線治療をした時のマスクです。放射線治療ってプラスチックを顔に押し付けてやるんです。本当に何に使えるかわからなかったけどお金かけてつくったからもったいなくてもらってきたんです。「どうするんですか」って聞いたら捨てると言うので。
でもガスマスクの支柱がない。だったら張り子すればいいと思って牛乳パック溶かしてミキサーにかけてノリを混ぜて張り子をしたんです。一週間くらい経つとぴりぴりぴりってはがせるからそれで何個も何個も作って、結構失敗したんですけど。目の部分はくりぬいて目まで作って。人間の目って計30センチくらいないといけないからそれくらいの球を買ってきて眼球書いて付けて、塗って。

―それぞれのキャラクターに意味はあるんですか

狼を作りたいとかレースを使いたいとか、うさぎは前に合ったウサギをガスマスクにしたいとか、後付けです。でも物語がある方があったほうがみんな好きなんだろうなって。その方が救われるし。ガスマスクって強烈だから。届いた時未使用とはいえ怖かったですし。

でも想像していたのと反応は違いほんの一部の人しか理解してくれなかった。クリエイターの反応は良かったですけど。文章書いている人とか、一流企業の人とかはぱっとみて「凄く良い」って言ってくれる。でも普通のおばさんとか普通のおじさんとかは前の方にいるうさぎとか可愛いものに目が行くんです。

―原発のことに触れた人っているんですか

それはいません。でもアートフェアってそういう場所かもしれません。ぐちゃぐちゃしているし、そんなこと期待しなければ良かったのかもしれないと思いました。
メッセージを込めるのであればもっと良い空間で見せるべきだと思いました。あんなところで本気出してもしょうがないって。
やっぱりちゃんと見てもらうには全部の空気を使わなければいけません。集中して見れないと思います。いくら一点一点作り込んだところで見え方が違ってきてしまう。それでは作品に失礼。アートフェア―の後、浅草橋に作品を撮影しにいったんだけど置く場所によって全然見え方が違ってくると改めて思ったんです。だからこそもっと作品を大事にしなければいけない、そう思いました。

―ガスマスクは次回以降の作品も使うんですか

今度はガスマスクで映像を作りたいと思っています。なので今は映像を作れる人を探しています。もっと作品を増やして映像にしたいです。
原発だけじゃなくて自然破壊も関係あるので木とか、森とかで撮影したり。夢の中みたいにピントがあってなくてもいいし。

ガスマスクは子供の反応は凄く良かったんです。怖がってくれたので。お母さんが子供に「ほらかわいいでしょう」って言ってその子供がガスマスクを見ると凄く嫌な顔をしている。こっちは「正解」みたいな。でも一方でお守りは可愛いと思ってくれる。両方必要なんですよ。救いも必要だし、メッセージも必要だし。両方ないとやっていけない。
でも圧倒的に鈍っている。大人が子供を守らなければいけないし、本当にぼやっとしてるとみんな死んでしまうと思う。でもそうブログに書いたら炎上しそうなんで最近は書かないようにしています。
でも本当に敵視している人ってすぐに味方に代わる。誤解なんて話をしたらすぐにとけるから。でも話をしないで誤解されるのは嫌。ブログなんて勝手に見ているだけだから。話も出来ないし、相手がだれかもわからないし。

―今はfacebookにしてもtwitterにしてもそうですよね

だから最近はあまり書けなくなってきました。凄く思うことはあるんだけど・・・、でも悶々と考えた結果「これは言えないな」って。みんな頑張ってるってそう思うようになりました。

―自分のブログは見直したりするんですか

滅多に見ません。たまにブログ書いた後に前のブログ見て「あ、いいことあるな」と思って、それをfacebookに書いたりすることはあります「わたしいいこと書いていたんです。みんな読んでね」って。
とにかく言葉は怖い。でも発信している側だからそういうものをやめると死んだみたいになるのでやめることはしません。人ってすぐに忘れるし、そんなに人のことあまり気にしていないと思うから。そんなに人って親切じゃないと思っているし、今いる周りの場所だけが自分の場所だって思ってる。みんなそうだと思います。

―最近では夢の中の作品を作ることはないのですか

それも作ります、作りつつ、メッセージあるものも作る。多分合わせることが出来ると思う。そういうことずっと考えていたら夢に出てくるのでね。

Interview & Text:Masaki Takida, Tomoka Shimogata

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