Interview

GERLAN JEANS


Jeremy Scottのテキスタイルデザイナーとして活躍した後今シーズンブランドをスタートさせたGerlan Jeans。今回はGerlan Jeansを取り扱う新宿のセレクトショップCandyと共同でGerlan JeansデザイナーGerlan Marcelにインタビューした。

-あなた自身のこと、またブランド設立までの経緯について教えてください

ロンドンに生まれ、オハイオで育ちました。両親は非常にクリエイティブで私に影響を与えた人物で、必要なら何としても自分を表現するように勧めてくれました。それ以来私はそのようにしています。
2005年にCentral St. Martins のPrint for fashionコースを卒業し、Jeremy Scottの下で2年間働いたあと、NYに移住しCoachで女性服のデザインを始めました。
これらの経験はかけがえのないものでしたが、すべてGerlan Jeansを始める上での手助けとなりました。

私はずっとプリントデニムに夢中でしたが、見つけるのにはいつも苦労しました。いくつか扱っているブランドはありましたが$400を超える値段でした。そして私が見つけたヴィンテージデニムはどれもカットがあまり見栄えのよくないものばかりでした。
私は目新しいプリントデニムを作る気はなく、力強くはあるけれど、とっつきやすくよりカジュアル感覚で身につけることのできるプリントを作りたかったのです。

-コレクションのイメージを表現する上で、ブランドのコンセプトとシーズンのテーマは重要だと思いますか

それは、話を作り上げることと同じです。私は架空の言語、習慣、多様なシンボル、そして個人のサウンドトラックを用いて(音楽の中にはいつでもメッセージ があります)世界を創造することが大好きです。それに命を吹き込むことが一番の大仕事です。ですがGerlan Jeansの世界には確実に重要なメッセージがあります。それは平和、愛、調和、尊敬、表現の自由、打ち勝つ力、変化をもたらす力です。

-あなたのファッションやグラフィックデザインにおいて、インスピレーションの源となるものは何ですか

インスピレーションは私を取り巻くすべてのものから得ています。音楽、リズム、ダンスは私の生活の大部分を占めますし、同様に、私の素晴らしい家族や友 人、New Yorkのストリート、Paradise Garage、アメリカのモール、Palm Springs、そして明るくてカラフルなすべてのものです。

-ファッションデザインを自己表現の手段と捉えていますか

ファッションは自己表現がすべてです。他人とコミュニケーションするための最も贅沢な手段のひとつです。
また、愛や喜び、希望や許容を世界規模で広めることのできる、普遍的な手段のひとつでもあります。

-あなたの顧客はどのような人たちですか

大きな熱意があり、色やプリントが大好きで、素晴らしいユーモアのセンスがある人たちです。

-あなたのデザイン哲学について教えてください

Gerlan Jeansはアメリカのモールとパリのランウェイの融合です。つまりクリエイティブなデザインを手頃で身近なものにしました。そして何といってもプリントがすべてです。

-あなたのスタイルの他とは違う特徴は何だと思いますか

私のグラフィックとテキスタイルはすべてコンピューターを使用した手描きです。それはグラフィックを作るというより、さらに良いものにするためです。そのため、細部にまでとても個性が出ています。

-デザイナーになりたいと思ったきっかけは何ですか

現在の位置に自分がいるのは自然な流れでした。
イラストレーションやアートは壁に飾られるだけでなく消費されるべきだと私は考えていますし、服はアートを見るものだけでなく、より個人的に自己表現のレベルで体験し、解釈するものへと変化させることができるからです。

-あなたの作品に強く影響を与えたデザイナーや人物はいますか

Patrick Kellyは常に私に多大な影響を与えてくれます。
彼のメッセージは色、プリント、愛、自意識、より親しみやすいファッション、生活を楽しむこと、そして他人がどう言おうと自分自身でいること、それらすべてです。彼は真の発信者です。
Doly Partonもまた私のデザイン哲学に大きな影響を与えてくれました。彼女はBackwoods Barbieという彼女のアルバムの中で、‘輝き、デザインし、洗練されなさい’と言っています。

-Jeremy Scottの下でテキスタイルをデザインしましたが、彼から何か学びましたか

Jeremyの下で働いていた間、クリエイティブな面でも技術的な面においても彼からは本当にたくさんのことを学びました。
しかし私が学んだ最も重要だった教訓は、いつでも自分の本能を信じ、自分の心に従い、自分に正直であれ、そしてすべての障害も好機と思って、後戻りせずに向き合いなさい、ということです。

-あなたのデザインで重要な要素は何ですか?

色とプリントがすべてです。
プリントは常に私にとってのファッションであり、ファッションは常にプリントでもあります。お互いを切り離しては考えられません。
それから、ビジョンを実現させるための過程と、他のクリエイティブな人たちとの共同作業が重要です。仲間内の問題です。

-将来の計画やビジョンを教えてください。

Gerlan JeansとPrints Pleaseはこれからです!
(あなたの近くにもGerlan Jeansの店が出現するので見ていてください!)
私の使命はプリント、色、型そしてジーンズを通して愛と前向きなエネルギーを世界規模で発信することです。
また、インテリアからファッション、さらには建築まで、人々のグラフィックにおける夢を実現するプリントスタジオの本社を建設するための基金を集める活動もしています。どんなものにでも印刷します。

-3Dの服のデザインを始めた時は、2Dのもの(イラストやテキスタイル)と比べて難しいと感じましたか

グラフィックデザインが2D媒体であったことはありません。私の描いたものはすべて実際に生活で生きてくるものであってほしいと思っています。ですが、紙の上で良いものだからといって身につけても似合うとは限りません。それこそ私が愛する挑戦です。
私はプリントが作り出すサイズ、寸法、色、シルエットが確実に体の形をより美しく見せるものであるために、多くの時間を費やします。それらは顕著に細部に表れます。

-コレクションをPatricia Fieldの家で行ったのはなぜですか

私は長年、Patriciaのために様々なプリントの仕事をしました。
彼女の毎年恒例のファミリーホリデイパーティーで会った際、彼女は私がまだショーのための会場を見つけていないことを知り、自分の家を提供してもいいと言ってくれたのです!
そのときは夢ではないかと思いました!ですが彼女は常に若いデザイナーやアーティストに驚くほど協力的で、真のニューヨークの精神を支え続けるうえで大きな役割を果たしているのです。

-NYを拠点にしているのはなぜですか

NYのストリートは世界中でも最も刺激的な場所のひとつです。
私は、人々が営む多種多様な人生を経験したり発見したりする機会を得ることが大好きなのです。
BrooklynやManhattanのブロックを、そこにある景色、道、色、形や顔に心を動かされずに歩くことなどできません。ときには、自分が受けるインスピレーションが大きすぎて爆発してしまうのではないかと感じるほどです。
このひとつの場所にとてつもなく才能豊かで比類のない人たちがたくさんいますし、
クリエイティブなエネルギーに満ち溢れています。
ここに自分が住んでいることがとても幸運だと思います。

-初めてのコレクションを終えた後の周りの反応はどうでしたか。またその反応についてどう感じましたか

反応は絶大でした。ショーのエネルギーはとてもポジティブなもので、皆心から楽しんでいました。私はクリエイティブな人たちと最高に素晴らしいチームで仕事することができ、そのおかげで私のビジョンが現実のものとなりました。
New Yorkは、色と、ほんの少しの愚かさについて受け入れる準備ができていたのだと思います。ここでのショーはいつでも黒く、灰色で、そして深刻です。ファッションは楽しくなければいけません!

-(ブランド設立は)なぜこのタイミングだったのですか

Gerlan Jeansは私が仕事をするうえでずっと目標としていたものです。しかし、前シーズンが絶好の時期だと感じたのです。物事が変わりつつあると思いましたし、人は思考や生活について新しい道を探索し探し求めていると思いました。
オバマが新大統領に選ばれたことも、私たちの集団的意識の中の変化に大いに関係があると思います。そして現在の経済危機こそ、人々に色とプリントの新しい価値を気付かせることになったと思っています。

Interview/Masaki Takida, Yana&Yusuke(Candy), Translation/Yuko

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