”自分が違和感を覚えるスタイリングでもその人にしてみれば慣れ親しんだスタイリングであると思うし、彼らがそれを選び、気分が高揚して、いいと思えばそれでいいと思います。服ってそういうものかなと”
→JUN OKAMOTO 時代に寄り添うクリエーション 1/4
→JUN OKAMOTO 時代に寄り添うクリエーション 2/4
→JUN OKAMOTO 時代に寄り添うクリエーション 3/4
―2010年春夏より始められているコンセプトレーベル[JUNOKAMOTO BLUE]について教えて頂けますか?
障害を持った方たちの織る“さをり織り”や障害を持った方たちの描く絵とのコラボレーションラインです。最初はコレクションの中でやっていましたが、テーマをリンクさせる難しさもあり今はメインコレクションには含んではいませんがイベント等で定期的に発表出来たらと思っています。
―なぜ“さをり織り”だったのでしょうか。
単純にそれが素晴らしいと思ったからです。健常者の方でも“さをり織り”をやられている方もいますがチャリティとかそういう考えではなく単純に障害を持った方たちの作られているものが素晴らしかった。それだけです。だから寄付をしたりはしていませんし、仕事をお願いして、対価として支払いをしているというごくごく普通の関係です。
―メンズも2012S/Sから本格展開がスタートしています。
4シーズン前くらいから少しずつ作っていて、ラックも分けてちゃんと見せたのは今回が初になります。以前からちゃんとやりたいと思っていたので。
―メンズはそのまま“岡本順”という印象です。
自分が着たいものを作っていますが男らしさが足りないと言われることもあります。
―レディースの素材を使っていますしね。
そうですね。自分の色を出さなければ意味ないと思うので。
―メンズは似合う人が少なそうですね。難易度が高いというか。
そうかも知れません。ですが地方の受注会など色々な人と出会う機会があって、様々な方にJUN OKAMOTOの服を着ていただいて思ったのですが、やはり似合う、似合わないというのはその人が決めることなんだなと。自分が違和感を覚えるスタイリングでもその人にしてみれば慣れ親しんだスタイリングであると思うし、彼らがそれを選び、気分が高揚して、いいと思えばそれでいいと思います。服ってそういうものかなと。
―デザイナーは結局提案しかできないと?
そうですね。1人1人に合わせて作ることも困難ですし、僕は自分がそうであるように、最終的に自分にとって似合えばその日一日ハッピーになれると思うので。ただ好きなブランドの服を身につける事の幸福感もあると思うので、デザイナーに出来る事はそう思えるようイメージをつくっていく事かなと思います。
―売る側と買う側の距離感についてはどうですか?
日本のマーケットは売れる為に最大限の努力を惜しまないところだと思います。もちろんそれは凄くリアルだし、デザイナーにとっても、お店にとっても大切な事だと思います。ただ日本の問題としては売れるか売れないか分からないものは置けない、という選択をどうしても取りがちになるところだと思います。ヨーロッパの方は売れようが売れまいが関係なしというスタンス、気に入ったら置くみたいな感じがしました。
―売れる服って事前に判別つきますか?
分からないです。全然当たらないですね。作っているときは「これはきたな」と思うこともあるんですが、結果違うものが売れるということはよくあります。
傑作だと思ったものでも売れないときはそれでも勉強になります。女性が求めているものへの理解に繋がりますし。ただそれでも自分がいいと思うものは世に出ないままだとくやしいので次のシーズンにも継続して作ったりしていますけど。
―先日FIGHT FASHION FUND by PARCOプロジェクトの第一回目のデザイナーに選ばれましたがどういう経緯で応募しようと思ったのですか
やはり今回のプロジェクトに応募しようと思った最大の動機は認知度を上げたいと思ったからです。1人でも多くの方に知って頂ければという思いが一番強くありました。今では毎シーズン20店舗くらいで取り扱ってもらえていますが、知名度でいうとまだまだだと思いますし、今回のプロジェクトでたくさんの方に知っていただければ嬉しいです。単純に何か新しいこと、初めてのことに挑戦することも好きなんです。
―ファンドの使い道って決まっているんですか?
まだこれから決めていく段階です。
―Theatre Products, giraffeと知名度のあるブランドが選ばれた印象でした。
JUN OKAMOTOは分かりませんが(笑)。
やはりある程度の知名度が無いと資金も集められないのだと思います。投資ですから、増やすことも、返すことも必要になってくるのでその能力があると判断されるブランドという線引きはあったと思います。
―今後自身ではショーやプレゼンテーションでの発表は考えていますか
alexandre matthiuの下でショーに携わったりしていたのでショーの楽しさは知っている。でも自分のブランドにはまだ早い。だから今映像を作ろうとしているんです。ショーになってしまうとどうしても大勢の人の助けが必要になります。それをまとめ上げられる自信はまだないので少しずつ自分のブランドにあった方法を探していけたらと思います。
Interview & Text:Masaki Takida, Fumiya Yoshinouchi
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岡本順:
1975年生まれ
1997年文化服装学院を卒業後、パリのStudio Bercot に入学。
Arexandre Matthieuのアシスタントを経て、自身のブランドを2002年より、パリを拠点にスタートさせる。
2008A/Wより障害を持った方たちの織る『さをり織り』や、障害を持った方たちの描く絵とのコラボレーションラインを始め、2010S/SよりJUN OKAMOTO BLUEとして立ち上げる。
2009-10AWよりメンズラインをスタート、2010年より拠点を東京に移す。
URL:http://www.junokamoto.com/
wallflower by jun okamoto:
〒860-0845 熊本県熊本市上通町3-21, 1F
tel:096-223-5642
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