Interview

JUVENILE HALL ROLL CALL 3/3

“本当に親しい友達とかに日記を交換するみたいな気持で服を作ってる気がします。半年間の自分の心の動きだったり興味のあることだったり”

―毎シーズンのインスピレーション源というのはどういうところですか

音楽はあるけどタイトルとかに異常にグッとくるところがあるんです。でも勝手な解釈で英語のタイトルを聞いた時にそれを勝手に自分の中で膨らませて服にしていくのと、自分が着たい服がベースになっているので自分の今の気分みたいのが一番でかいですね。だからタイトルは気分を表してるのかもしれないですね。

―今回のモデルは女性だったのですがレディースも作られているんですか

作ってないです。今回はスタッズ打ったりとかライダースとかだったんで男の子が着ているイメージというのが容易に浮かんできてしまったのでちょっと面白くないなって。「女の子に着せたい」って言ったらHIROも良いって言ってくれたので「じゃ女の子で行こう」と。多分意外と女の子の服好きだし、今回 もハードになりすぎるじゃないですか男の子が着たら。日本で素人で格好良く着こなせる人はいるけどモデルさんに着せたら本当にファッションファッションしちゃうと思ったので女の子に着せたんですよね。

―レディースは無いようですが女の子でも着れそうなアイテムはたくさんありますよね

レディース的なカットとか切り口は凄く好きですね。でもユニセックスとは思ってないですね。基本メンズに着て欲しいと思っているので。

―パターンは自分でやられているんですか

今は友達に頼んでいて修正だけですね。出来なくはないですけどあまり細かい部分まではやらないですね。絵を描いてパターンを トワル組んでもらって修正、修正という感じですね。リメークは全部自分でやりますけど。

―パターンに対して凄いこだわりがあるというわけではないんですか

そんなには無いですね。逆に僕は女の子のパタンナーさんをわざと使ってるんですよ。ちょっとさっき言ったのと近いんですけど女の子に出せるシルエットとラインがある。男のパタンナーさんがやるとちょっと先入観があり過ぎるのでそこをちょっとリセットしてパタンナーさんにふりたいのでテーラードのジャケッ トを作った時はメンズのパタンナーさんを使ったんですけど今はずっと最初の頃からやってもらってる主婦の方に子育ての間に僕のパターンをやってもらってい ます。

―ではどこに一番力をいれているんですか

自分のテンションが上がるかどうか、自分が着たいかどうかがやっぱり最終ジャッジにはなっていますね。今丁度次のシーズンを作る真っ最中なんですけど一進 一退したりうじうじしてる時が一番楽しいですね。出来たら結構興味無くなってくるとこもあるので。

―毎シーズンテイストが結構変わりますがそこは意識されているのですか

正直意識していますね。変な話ですけど恋愛みたいなもので「俺のこんな部分どう?」みたいなところを見てもらいたいと思っているので。あと悪い意味でも裏切りたいと思っているので「うわこんなのもやっちゃうな」とか「こんなのやって残念だな」って思うこともちょっと嬉しいですね。

―バイヤー側の目線からすると毎シーズン変わるので難しいのかなと思いますが

多分相当難しいと思います。同じタグ付いてるけどシーズンが違う服並べたら全く違う服に見えると思うので。でも自分の中でも洋服ってこんな服だけが好きっていうわけじゃないからその時のテンションで、Seditionariesとかそういう服はずっと好きだけどさじ加減を取って見え方は常に変えたいと思っています。

―どういう人に着てもらいたいとかというのはありますか

テンション良く着れれば誰でも良いですね。だからさっきと話が戻るんですけど何年か前までは服わかる大人の人とか30過ぎたくらいの人に着てもらおうと思っていたけど今は全く思わないです。こんなんでも着れるんですかみたいな部分は正直あるので。

―ブランドのコンセプトを教えてください

わかりやすく言うと日記みたいなものでこの半年間地味に書いた日記を今回どうでしょうみたいな。本当に親しい友達とかに日記を交換するみたいな気持で服を 作ってる気がします。半年間の自分の心の動きだったり興味のあることだったり。

―HPに書かれている言葉の意味について教えてください

僕たちが買う商品には、これは何をするんだかわからない変なところが含まれている商品なんてない。
100%矛盾なく、設計しようという意志によりつくられたもの。間違いは許さない、曖昧なことを許さないというものたちばかり。
でも僕なんかがつくるものは、曖昧なことを許しちゃうし、多義的なもの。
作者の意識と離れた無意識に何か意味をもってくる。
いやむしろ、曖昧なところをいかに取り込むかという作業をしているわけだから。正反対。

あれは音楽だから成立することかなとも思うんですけどでも服もそうだと思うんですよね。洋服を作ってるんですけど洋服ってパターンと生地があるからある程度フィニッシュ見えてるんですけどやっぱりぶれるんですよ。例えばステッチ変えても見え方変わるし仮に長さ変えたり着る人によっても見え方全然変わるじゃな いですか。短パン作ろうと思って作るんだけど作るまでに滅茶苦茶ぶれるんですよ。良い意味で。でぶれてる時に啓示と言ったら変ですけどそのぶれたものすら入れたいと思ってるんですよね。洋服ってプロダクトとしたら物凄くちゃんとしたものなんだけど揺れてる気持ちを服に入れたいと思ってるということかな。

―ありきたりな服ではないので着方がよくわからない服との意見もありますが

そうかもしれないですね。バイヤーの人でも俺に言ったら失礼だと思って敢えて言わないようにしてるんですけど多分みんなそう思っているんだと思います。

―自分はそこを狙っているわけではないのですか

でも各人でそれは考えて欲しいというか、自分なりにはこういう着方良いなとは思うけど仮に他の人が着たらこうは思わなかったみたいな着方されてる時って凄 く嬉しいんですよ。だから滅茶苦茶にレイプして欲しいじゃないけど俺の服着てこんなにぶっ放すんだっていうのを見たいというのもあるので自分の考えた世界観というよりはぶれていってもらって正解と考えているということかな。

―ブランド好きではなく洋服好きな人が着る服との意見もありますが

そうかもしれないですね。だから意外と固定観念のある人は着れないかもしれないですね。

―個人的に一番影響を受けたデザイナーは誰ですか

やっぱりそれは川久保さんや盾さんだと思います。Vivienne Westwoodとかも好きだけど直接アトリエの中にいたので服に対する姿勢は川久保さんで服の作り方は盾さんに影響を受けているかもしれない。何でもあ りなんだみたいな。今は離れて大分経つからよくわからないですけど(UNDERCOVERは)その当時東京で一番だと思っていましたし。
今流行ってる新しいブランドだったりコラボしたりってカンフル剤にはなるけど長続きしないじゃないですか。Juvenileは7年くらいやってる けど枝葉分かれたりしないでこれだけやってますみたいので続けられたらいいなって思ってるんですけどね。服はぶれてるんですけど。それがいいなって。

Interview & Text:Masaki Takida

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