1月19日より代官山AquviiにてMAYU SOSOGI初のエキシビジョン「TEMPERATURE」が開催されている。
従来の柔らかいイメージに反した、どこか攻撃的で毒のある刺繍作品を展開。初の単独展となる今回は、脈打つ生けるものと無機質という対極的なものの狭間の温度を表現している。また観る側の心理的な捉え方に着目したため、「暖かい/冷たい」「ポジティブ/ネガティブ」などを作品に目に見える形で反映させないようにしたという。
レンズを覗くと見える頬杖をついた女性の姿。葛藤を動作で表している頬杖もまた一種の心理的作用によるものである。女性の前には文字が書かれたチュールレースがかかっており、繊細な心情と素材の上に繊細な刺繍を組み合わせている。
虫を刺繍した作品では、ボックスの中に土をひいている。室温の変化で中の水分が蒸発し、ボックスの表面に水滴が付くことがあるというが、脈あるものの生命力を最も感じられる瞬間だ。木に刺されたロケットスタッズは木の目を表現し、無機質になっていく様を、ボックスの中の虫は土に帰っていく様を作品に込めている。
何かを見たり聴いたりする日常の中で、常に変化し続けている人間の心理と正確な値を出しにくく安定しない温度との繋がり。鍾乳洞のような殺伐とした、だが生命感のある空間の中の作品は無機質なビルに囲まれて生活する私達自身に通ずるものを感じる。
【MAYU SOSOGI EXHIBITION “TEMPERATURE”】
2013年1月19日(土)〜2月10日(月)
12:00 – 20:00
@Aquvii
東京都渋谷区代官山町2-5
03-3462-5044