10月29日(土)〜11月3日(木祝)に「第5回青参道アートフェア」が開催されている。青山通りと表参道をつなぐL字型の裏通り”青参道”を拠点に行われるアートフェア。アートで通りが賑わうこと、若手現代アーティストの作品を「購入する」楽しみを知ってもらうことを目的としている。昨年度より、会場となる店舗も青参道だけにとどまらず、表参道、原宿、キャットストリートと規模を拡大して開催。店舗スペースがアートを飾る会場となるのも特徴だ。スタンプラリーのように、各店舗にアートを求めて巡回できる楽しみも、このフェアの醍醐味である。「敷居は低く、クオリティは高い」。青参道アートフェアで、手頃な若手アーティストの作品を通して、現代アートに気軽に触れてみてはいかがだろうか。
ここでは実際に訪れたフェア参加店舗と、アート作品を紹介していく。
【hpgrp GALLERY 東京】
アートやデザインのイベントで賑わう秋に毎年個展を行っている、大矢加奈子氏。今年もhpgrp GALLERYにて個展「ひとりごと」を開催。周到なレイアウトと高い描写力が、ぼんやりした灯火のように夕日色の影に潜む。マスキングやエアブラシを用いた独自の表現方法を用い、印刷物と絵画の狭間をすり抜けるようなタッチが印象深い。しかし、あくまでも油絵の基本的な技法をもとに、部分的にアクリル絵の具を取り入れている。
虚しさ、曖昧さ、不安定。日常で何気なくつきまとう感情が、彼女の描くシンプルな情景に踏み込む。「すごく曖昧なものの上に立っている中で、逆のところから生まれるものに生きている強さを感じる」と大矢氏。室内を描いたものが多く、狭い地下室など”自分の価値観が大きい”と感じられる空間から生まれる空気を常に温めている。ふわっと綿飴のような甘さと伸びやかな輪郭が、放ってはおけない不安を募らせても、赤みの帯びた静かな色彩がほっと息をつかせる。曖昧でたどたどしいバランス感。自ら撮影した写真や日常からの切り取りといった「自分」を通した作品を”記録”していく。
hpgrp GALLERY 東京
東京都渋谷区神宮前5-1-15 B1F
03-3797-1507
11:00 – 19:30 (月曜定休)
www.artdiv-hpf.com/tokyo/