桑沢ビルにてワダエミプロジェクトの展覧会が行われている。アカデミー賞最優秀コスチュームデザイン賞、エミー賞最優秀衣装デザイン賞を受賞した世界的衣装デザイナー、ワダエミ氏。
そのワダエミ氏が手掛けた数多くの作品の中から、映画「HERO」「LOVERS」「中天」や、オダギリジョー主演の映画「狼災記」で実際に使用された衣装など40点余を間近でみる事が出来る。
会場入り口に並ぶ、色鮮やかな衣装はチャン・イーモウ監督作品「HERO」の衣装で、舞台は秦と趙の国。
これらの衣装は最初にチャン・イーモウ監督の故郷でもある西安へ行き“秦”の資料を集め、“趙”に関しては資料が存在しない為、古代の中国と韓国、そして日本の衣装をミックスさせる方向でデザインを進めていったそうだ。
中でも注目なのは、飛雪と如月がポプラの黄色い落ち葉をバックに戦う有名なシーンで使用された飛雪の“赤”の衣装。200mの生地と、数トンものミネラルウォーターを使って試行錯誤の末ようやく完成させたワダエミ氏渾身の一着だ。
これについてワダエミ氏は「中国の水は硬水。飲める水でないと綺麗な色が出ないんです。」と言う。
「狼災記」の衣装は本邦初公開の物で、ワダエミ氏のデザイン画をもとに東京造形テキスタイル専攻の学生50人が羊毛から製作したフェルトが使用されている、ブラウンの濃淡が味のある衣装。
映画で使用された衣装の数は1000着以上で、羊の毛皮を約3000頭使用し、全ての衣装を作り上げる為に約8ヶ月かかったそうだ。
今展示会は衣装の他に、ワダエミ氏の監修のもと企画や会場設営など学生が主体となって行われており、学生の手から創造された空間も圧巻。
場内には竹が並び、銀のグラデーションになるようにエイジング加工された大黒幕が垂れ下がる空間はワダエミ氏の衣装が更に際立ち“スクリーンを超えた実物のワダエミ衣装の魅力”を堪能出来る。
展示期間は2011年2月2日〜19日まで。
みとれてしまう様なワダエミ氏の世界間に是非足を踏み入れてみて欲しい。
〈ワダエミ衣装空間〉
会場:桑沢ビルP1ホール
東京都渋谷区神南1-4-17
03-3463-2431
期間:2011年2月2日(水)〜19日(土)
開館時間:10時〜19時
(土・日・祝日は17時まで。最終日のみ15時まで。入館は閉館30分前まで。)
入館料:無料