僕が最後に手掛けたある舞台があります。
当時の僕は自分で思っている以上に“我”が強く、今でも強いんだけど強さの質が違かった、、、苦笑
只強いだけで、柔軟性のかけらも無い。
それでも何となく仕事をしてた。
でも、その舞台の演出家にはこれまでのやり方が通用しなかった。
柔軟性の無い強さは簡単に折れて粉々になり、当時の強さなりにしたかった事柄を見失い、最後は言われた物を用意する言いなり状態になるしかなかった。
そりゃ、そーだ!!
当時の僕には何も無かったんだもん。
無いのに“我”を出したってそれは只の自己満足であり自己中心的なやり方でしかない。
いや、少しの運と自分の中にある確信はあった。
でもそれは僕の中にしか無くて、形にしてないんだから無いと同じ。
何も無い。
それを見抜かれてたんだろうね。
今でも当時の稽古場へ行く途中にある惣菜売り場の匂いを嗅ぐと吐き気がするし、稽古場ではいっその事「殺してくれ」って本当に思ったもん。
そんな情けない仕事をしたのは後にも先にもその舞台だけ。
それが本当に悔しくて悔しくて衣装の世界を離れ、自分の中にあるべき確信を形にしようとした。
僕の中にあった確信。。。
その確信が姿を成したものが『Sise』です。
今思うとその演出家は不思議と時々展示会に遊びにきてくれてた。
もしかすると、何も無いの中にある少しの可能性も見抜いてくれてたのかな?!って、、、苦笑
あれから6年経った今「コーパスクリスティー」は同じ演出家です。
だからやってみようと思った。
「凄い!!」じゃない。
「っぽい!!」って思って貰えたら、「いま」僕が手掛けた意味があると言うものです。
だって6年間それをつくってきたんだから!!
勿論、自分のコレクションじゃないし、着用するのはスタイルのいいモデルばかりじゃない。
ストーリーもあるし動かなきゃいけない。
意味合いも必要になってくる。
そこは変わらない。
それでもどこかに「っぽい」を感じてくれるといいな!!って思います。