2011年5月11日~22日シンガポールで官民一体の運営によるアジア最大級のファッションイベントAsia Fashion Exchangeが行われている。
→アジア最大級のファッションイベント「AFX 2011」開催
Asia Fashion Exchangeでは名の通った国際的なブランドのショーからファッションに関する国際的なカンファレンス、新人デザイナーのコンペティションなど様々なファッションに関するイベントが開催されている。
イベントの中のひとつにBlue Printというアジアの新進気鋭デザイナーが参加する国際見本市がある。次世代のアジアのファッションを担うであろう才能あるデザイナーやレーベルが多数参加し、全世界のバイヤーやジャーナリストが集っている。今回の参加ブランドの中で特に異彩を放っていたのがデザイナーAshburn EngによるYoung and Restlessである。
2010年8月にローンチしたばかりで2011S/Sで2シーズン目という新しいブランドだが、2010AWの“Ritual”(「宗教的な儀式」を意味する。) をテーマとしたコレクションを発表した途端、瞬く間にアジアのみならずヨーロッパからの注目を集めている。アジアのデザイナーとしては唯一2011年1月にアムステルダムで行われた次世代の新進気鋭アーティストの為のプラットフォームModefabriek’s NEXT Designer Platformにも招待され、作品を発表している。
デザイナーのAshburn Engは元々スタイリストとしてファッション界での経歴をスタートさせ、2009年には国際的なファッションフォトグラフィー、イラストレーション、スタイリングを称えるアワードIconique Societas Awardでベストスタイリングを受賞するなど、スタイリストとして眩い経歴を残してきた。スタイリストとしての経験から、得た様々な知識や技術が落としこまれた作品は、緻密で鋭く明確な世界観を持っており、奇抜ではないものの、他とはあいまみれない独特の空気感を漂わせている。
今季の2011AWのコレクションは2010AWのコレクション“Ritual”と名をうった宗教色と儚さと厳粛なムードを漂わせるテーマから一変、”The Flying Squirrel” (空飛ぶリスを意味する。)という、ファンタジックなテーマとなっている。森と都市の風景の間を飛び回るリス=現実から空想へ逃避したいという願望を都市風景の現代建築に用いられている正方形や三角形といった幾何学的な柄をガーメントのパターンに応用して構成し、軽快なシルエットで表現している。
2011SSのカラー使いではYoung and Restlessのシグネチャーカラー黒を“暗闇のトンネル”、アクアマリン、サンドといったカラーを“闇に差し込む光”とみたて、カラーの明暗でもストーリーを表現している。非現実的なストーリーを独自の世界観で表現する“Young and Restless” 新進気鋭ながらシンガポール発のアジアでの今後の展望が最も期待されるブランドのひとつとなるであろう。
Young and Restless: http://www.young-and-restless.com/index.html